テック業界のカリスマCEO、S・ドラキアの異色なマネジメント法

Pressmaster / shutterstock


ドラキアは、センドグリッドがここまで成長できたのはサーバントリーダーシップのおかげだとしている。彼いわく、サーバント型のCEOになるということは、従来型の組織図を逆さまにし、CEOを一番下に置くということだ。

ドラキアは自分の職務の難しさを認めつつもこう述べる。「つらい仕事をしているのはCEOではない。私はバグに怒る顧客からの電話を受ける必要がないし、営業ノルマもない」。ドラキアが考えるリーダーの主要業務は、周囲を力づけることだ。

ドラキアは従業員に奉仕するため、多くの時間を従業員と共に過ごす。「多くのリーダーたちの予定を見れば、どこで時間を費やしているかによって、サーバントリーダーシップをどう捉えているかが分かります」とドラキアは言う。

ドラキアは就労時間の約半分を従業員たちと過ごしている。週に何度か、さまざまな人々やチームの様子を単に確認するための打合せをし、そこには管理職も第一線の従業員も出席する。「特に議題があるわけではなく、物事の状況を知りたいだけ。自社の戦略についての質問も受け付けます」とドラキアは言う。

ドラキアは、チームを支援する姿勢を示すように心がけている。「打合せの最後にはいつも『何か私や幹部にできることは? 未着手だが取り組むべき問題は?』と聞くようにしています」。こうした実践を通じて、ビジネスをよりよく進めるための素晴らしいアイデアが生まれるのだという。

しかし、従業員は自分のキャリアを左右するCEOと腹を割って話すことに、本当に抵抗はないのだろうか。「あなたもきっと驚きますよ」とドラキアは言う。

センドグリッドが重んじる4つの価値観の一つが正直さだ。従業員はしばしば、批判的な意見を述べる前に「honest H(正直さのH)」と言い、この価値観を思いおこさせる。「安全用語のようなもの」とドラキアは述べる。「皆、善意をもって話し合いに臨んでいるということが分かっているのです」

ドラキアはどうしてサーバントリーダーになろうと思ったのだろうか。「私の母は、『人生で大事なのは与えることであり、奪い取ることではない』という世界観を持っていました」
次ページ > 亡き母から学んだインドの教え

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事