不安障害と診断はされないにしても、時に不安を感じることは誰にでもあるはず。スピーチをすることを考えてドキドキする、あるいは昇給交渉が怖くて手のひらが汗ばむなど、不安な気持ちは自然なものだ。
不安から自分を守るために、リスクを避けたり、自分が安心できる領域の中に留まったりする人もいる。不安は結局のところ苦痛であり、それを防ぐ簡単な方法は、不安を引き起こす事柄をすべて避けることだ。
だが、不安は必ずしも有害ではないことが、新たな研究によって示されている。むしろ、不安に正しく対応することで、自分のパフォーマンスを改善できる可能性があるのだ。
不安とは何か?
米国心理学会(APA)によると、不安とは「緊張や心配、そして血圧上昇などの身体的変化によって特徴付けられる感情」だ。症状は人によって異なり、感じる脅威の規模にも左右される。そのため、飛行機に乗ることを考えるとめまいがする人もいれば、良く知らない人をデートに誘おうとしてパニックになる人もいるだろう。
不安の目的
不安は、自身に危険を知らせるための自然で健全な感情だ。危険な状況に直面した人の中では、攻撃または逃避の反応が発動される。そのエネルギーの高まりが、自分の命を守る行動につながるのだ。
だが、大半の人は、命の危険がない時にも不安を感じる。仕事の面接に行く、自分の意見を主張する、スピーチをするなど、生きるか死ぬかの問題ではない行為でも、まるで崖に片手でぶらさがっているかのように体が反応する場合がある。
不安がパフォーマンスに与える影響
不安は古くから敵と見なされることが多い。アスリートやパフォーマーは、緊張や舞台負けを取り除くように言われる。それには正当な理由もあり、不安は記憶力と集中力を弱めるとの研究結果も複数出ている。