かつてなく静粛、進化したディーゼルエンジン「BMW 523d」

優れたディーゼルエンジンを備えたBMW 523d


外観は、前世代に少し手を加えただけなので大きな変化はない。つまり、そのスタイリングが好きかそうでないかは、はっきり分かれる。それが、BMWというもの。クルマの購入にあって、いちばん主観的なポイントだ。僕としては、新5シリーズはプロポーションがよくて、旧型よりスタイリングがスッキリしたと思う。

室内はすべて本革を使い、木目調ヴェニアに上品なアルミ・ルックの素材があしらわれていて、ラグジュアリー感も上がっている。

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イルミネーションのラインも好みの色を選べる。カーナビとオーディオに加えて、大きなディスプレーの1つの機能として新しく採用されたのが、ジェスチャー・コントロールと呼ばれる“オマケ”の機能だ。オーケストラの指揮をするかのように、スクリーンの前で手指を動かすと、ラジオ局を選択したり電話を取ったりできる。
 
ところで、優れたディ−ゼル・エンジンに次いで、最も評価できるのは電動セーフティーネットと呼ばれるセーフティー機能だ。アダプティブ・クルーズコントロール、自動ブレーキ、レーンキープ、レーンチェンジ警告、死角警告の搭載はもちろんのこと、さらにスピード制限アシストも装備され、ドライバーが目的地へ急ごうとするのを抑制する。

しかし、5シリーズのレーンキープやレーンチェンジ警告は、むしろちょっと過剰といえるかもしれない。通常、こういう機能はドライバーを「軽くつついて促す」程度なのだが、今回のBMWのシステムはなかなか強引だ。結構力強くステアリングを修正してくれる。これからのクルマは全てこうなるだろうね。

最初に述べたように、523dは地球上で最高のクルマのひとつだ。世界で最も静粛なディーゼルで、燃費も素晴らしく、ハンドリングと乗り心地もトップクラス。ラグジュアリー感も充分。ただひとつ首を傾げてしまうのは、過保護なエレクトロニクスだ。あまりにも行儀よくさせようと、ちょっとおせっかい過ぎると感じるのは、僕だけだろうか。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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