アーリーアダプター市場から脱出できないVR
VRデバイスは依然としてアーリーアダプター市場にとどまっている。ハイエンドのゲーム対応PCの普及台数が少ないだけでなく、コンテンツのダウンロードに時間がかかる点も障害だ。従来のゲームのように買ってきてすぐに遊べるような製品ではない。ソニーのプレイステーションVRはこの点で一歩先行し、100万台以上を売り上げた。
さらに、この分野では競争も激化している。グーグルのデイドリームに対応し、ケーブル接続無しで稼働するスタンドアロン型のヘッドセットを、HTC自身も発売しようとしており、価格はViveと同程度になる見込みだ。また、レノボもスタンドアロン型ヘッドセットを発売する計画だ。
この2製品はともに、クアルコムのSnapdragonチップを搭載し、遅延の少ないVR体験が可能だ。また、外部カメラも装備するためMR(Mixed Reality )体験も可能になる。スタンドアロン型のVRヘッドセットは従来の製品より安く、快適に使用できるのだ。
さらに、今後の新たな脅威が、マイクロソフトが間もなくWindows MRヘッドセットをリリースすることだ。Firefoxも先日、VRブラウザを発表したがAcerもWindows 10のプラットフォーム向けに300ドルでVRとMRの双方が楽しめるヘッドセットを投入しようとしている。これらの製品ではハイエンドPC無しでVRやMRが体験できるのだ。
筆者は内部関係者から、HTCやオキュラスがさらに進化した先進的なヘッドセットを来年、市場に投入するとの情報を入手している。これらの製品は通常のPCやマックで利用可能で、ブルートゥースの進化版のBLEに対応し、光学性能を増し、音声操作やハンドトラッキングに関してもより進化した操作性を実現する。
次世代のスタンドアロン型VRデバイスが市場に投入されれば、現状のViveやオキュラスはさらなる低価格化へのプレッシャーにさらされるだろう。現行モデルは年末シーズンにかけて、一層の値引きが行われる可能性もある。
オキュラスのRubinはこの噂を否定する。「オキュラスリフトは我々のフラッグシップモデルだ。今後もキラーアプリを投入していく」と彼は述べた。HTC社長のSteiberも「人々はゴシップが大好きだ。もちろん我が社の製品は時間をかけて磨き上げていく」と述べた。
Superdata ResearchのLlamasは筆者に宛てたテキストメッセージで「さらなる値引きを行わない限り、売り上げがさらに低下することは間違いない」と話した。