苦戦するVRデバイス市場、オキュラスとHTCが相次ぐ値下げ

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HTCは8月21日、同社のVR製品のフラッグシップモデル「HTC Vive」の価格を200ドル引き下げるとアナウンスした。HTCの値下げは先月、フェイスブックがオキュラスリフトの値下げに踏み切ったのに続く動きだ。両社はともに、販売価格の引き下げはユーザーのコミュニティを一層強化するためだと説明している。

HTCの今回の発表は名作ゲームの「Doom」をベースとした、VR専用タイトルの発売と重なった。HTC社長のRikard Steiberは「Viveに新たな大型タイトルが加わったことを歓迎する。開発者らは今後、さらに多くのオーディエンスをターゲットにできる。Viveはもはやアーリーアダプター向けの製品ではなくなった」と述べた。

VR製品の売れ行きを調査しているSuperdata ResearchのStephanie Llamasは「HTCはこれまで緻密なプロダクト戦略を練っており、競合の動きに追随して値下げを行うような企業ではないと見なされている。大型タイトルの発売に合わせて価格を下げることで、ユーザー人口を増やし、開発者らにもメリットを与えることができる」と話す。

一方で、7月10日にオキュラスは、VRヘッドマウントディスプレイOculus Riftと専用コントローラーOculus Touchのセット価格を200ドル引き下げ、399ドルとした。オキュラスのバイスプレジデントのJason Rubinはこれに先立ち、「2017年はVRのコンテンツの時代になる。当社はこれまで2億5000万ドルをコンテンツの増強に向けて投資してきた。今こそ、その成果が実を結ぶ時だ」と筆者に話した。

値下げによって、これまで様子見だった人々が購入を決断するケースも起こるだろう。しかし、それが大きなボリュームに達するかどうかは疑問だ。VRの使用に耐えうる高性能のPCは、世界でわずか2000万台しか普及していないのが現実なのだ。企業らが真剣にVR人口の増大を考えるのであれば、劇的なまでの低価格化が必要だ。しかし、誰もそのことを語ろうとしない。
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編集=上田裕資

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