同州オスナブリュックの路上で職務質問を受けた男らが運転していた車内から見つかったのは、表がトランプの顔をかたどったデザインで、裏には「トランプ」の文字が刻まれたもの。地元警察によれば、末端価格は推定3万9000ユーロ(約4万5800ドル、約502万円)だという。
ドイツの国営放送局ドイチェ・ヴェレが報じたところによれば、車を運転していたのは51歳のオーストリア人の男と17歳の息子で、2人は他に多額の現金も所持していた。押収された金額は公表されていない。
オスナブリュックからオーストリアとの国境までの距離は、少なくとも800km。一方、オランダ国境までは約88kmだ。男らは警察の取り調べに対し、車を購入するためにオランダに滞在していたものの、買うことができなかったと話しているという。
「ダークウェブ」で販売
英紙デイリーメールやメトロなどは今年7月、オランダの首都アムステルダムでトランプの顔型のエクスタシーの錠剤が製造され、「ダークウェブ」上で販売されているほか、英国に持ち込まれていると伝えていた。
米連邦法である規制物質法の「スケジュールⅠ」(乱用性が最も高く、医療目的の用途がなく、安全性に欠ける物質)に分類されるエクスタシーは、ドイツの麻薬法でも同様に分類されている。
ドイツでは、この分類に該当する違法薬物の所持または密売で有罪となった場合、最長5年の禁錮刑が科される。ただし、欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)によれば、密売に未成年が関与した場合や「大量」の取引の場合には、最長15年の禁錮刑となる可能性もあるという。今回の場合はさらに、トランプから商標権侵害で訴えられることもあるかもしれない。
MDMAとして知られるエクスタシーには、共感作用がある。トランプの性格的特徴とは一致しないと指摘する人もいるだろう。だが、トランプの顔をかたどったことは単に、大統領選でトランプが掲げたスローガンを引き合いに出したかっただけだと考えられる。ダークウェブで販売される際に使われているタグラインは、「トランプは再びパーティーを偉大にする」だという。