シャイな子どもの「殻」を壊したMake Schoolというプログラム

Make School 東京サマースクールの最終日。


米国スタートアップ・カルチャーの中で成長


このスクールの特徴は、3つある。まず実践主義。理論や言語の学習でなく、あくまでプロダクトをつくることを目的としているため、実際に役に立つプロダクトを発案し、フィードバックを得て、仕上げていく力が養われる。

次に英語。英語が不得手と言われる日本でも、米国から来たインストラクターは英語しか聞かず話さず、初日のオリエンテーションや自己紹介から最終日のプレゼンまで、とにかく英語でやる。

そして3つ目が米国スタートアップ・カルチャーだ。多様性を歓迎する、PDCAを回すことを重視するといったシリコンバレーの起業文化がベースになっているのが、プログラム全体によく影響している。実社会ともつながっており、マイクロソフトや富士通、グリーなどの企業が、企業訪問や指導、アプリの評価に協力している。

また、特筆されるのは、自主性と参加者同士の教え合い。あれをしろこれをしろと「教えられる」形はよくあるが、ここでは自主性が第一。同時に、グループを組ませて共に成長する助け合いを促す。これは年齢が違っても関係ない。

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東京サマースクールの参加者について、米国から来た講師たちは「シャイだしプレゼンは下手だが、習得は早い」と話す。はじめは反応が薄く、理解しているのか心配だったが、日々進歩する姿に感心したそうだ。こうして、自信のない子供たちも、一緒になって学び、つくる楽しさを覚え、熱中している間に成長する。

スクール後もコミュニティは続き、後日3日間の短期プログラムを手伝ったり、社会人も参加できる週末プログラム(日曜10回・東京)に参加しようという卒業生もいる。

生徒たちが、これまでの自分の枠を超え、英語やプログラミングという壁をのり越えるMake Schoolは、革新的な教育方法とそれを実践する人々の情熱が、いかに人を成長させるか、その力を再認識する体験だった。



筆者のボスだった大川功氏(元CSK・セガ会長)が「若者はコンピューターと英語を習得せよ」と言っていた20年前から、そんな場は国内にはわずかしかなかった。Make Schoolの東京サマースクールは、これを実現したうえに、起業家精神あふれるスタートアップカルチャーまで持ち込んでくれた。このエッセンスは、いまの日本の社会人にこそ必要なのではなかろうか?

文=本荘 修二

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