シャイな子どもの「殻」を壊したMake Schoolというプログラム

Make School 東京サマースクールの最終日。

プログラミングも英語も初心者で、パソコンの前で固まっていた中学生が、3週間後には英語で自作アプリを元気にプレゼン。参加者の父兄らは「こんなに毎日朝から晩まで熱中して取り組んだことは初めて」と口にした。筆者がこの夏に目にしたこの“マジック”みたいな光景は、いったいどうして実現できたのか──。

大学を越える教育を世界に

これは、7月から3週間にわたり東京で開催されたMake Schoolでの一幕だ。Make Schoolは2012年、Yコンビネーターの育成プログラムから発足。従来の大学教育の限界を超え、実際にスタートアップで求められるプロダクト開発ができる人材育成のために、短期から2年までのコースを提供し、中学生からシニアまで様々な人々が受講している。いま米国で同スクールの競争率は10倍超とも言われる人気ぶりだ。

グリーなどが株主であることから日本とも縁がある。企業研修として米国のスクールに人を送るところから始まり、2016年はZ会がパートナーとなって日本でのスクールを初開催。昨年末、野村美紀氏が「会ってこれだと思い、すぐ決めました」と日本代表になり、この夏のサマースクールが本格的に始動した。

共同創業者のJeremy RossmannとAshu Desaiは、Make Schoolを世界に広げるビジョンを持っている。事実、「私の国にもMake Schoolを!」という声も多く、この東京でのサマースクールにも、中国、シンガポールなど海外から4人の子どもたちが参加した。

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サンフランシスコから来日したiOSエンジニアのLuke Solomo

目を輝かせる中高生たち

3年前からの知人であるJeremyから「明日、コミュニティパーティに来てよ! 会えるといいね」との突然のメッセージにつられて、キックオフ会場に足を運ぶと、目をキラキラさせた生徒がたくさん。Make Schoolの本拠地サンフランシスコから来日した講師とともにiPhoneアプリ開発を学ぶ東京サマースクールには34人が集まっていた。

「意識高い系」の集まりかと思えばそうでもなく、ちょっと好奇心のある普通の子たちが大半。中学1年生から大学卒業生までと年齢も幅広く、学びたいこともプログラミングだったり英語だったりと人それぞれ。インターナショナルスクールの子もいるが、普通校の子の方が多く、プログラマーというと男性ばかりをイメージしがちだが、女子もけっこういる。

参加者の8割はプログラミングに覚えがなく、英語力は事前にSkype面談でチェックされるが、「頑張るから参加したい」という初心者もいて、二重のチャレンジがある。そもそもアプリを自分でつくって人前で英語でプレゼンするなど、やったことのある参加者はいない。


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文=本荘 修二

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