働き方改革─。
今、多くの経営者が突き付けられているこの難題に、何年も前から取り組んできたのが、シリコンバレーに拠点を置く米IT企業の「Box(ボックス)」だ。
Boxといえば、クラウドを活用した法人向けの「コンテンツ管理システム」で知られる。同社が今年6月、都内で開催したフラッグシップイベント「Box WorldTour Tokyo 2017」のテーマに選んだのは、「働き方改革」だった。コンテンツ管理と「働き方」がいったいどう関係するのか。
Boxという企業について少し説明しておこう。同社はカリスマCEOのアーロン・レヴィ(32)が学生だった2005年に創業し、15年に米ニューヨーク証券取引所に上場。現在世界で7万4000社以上が採用するなど、最も勢いに乗るIT企業の一つだ。日本でもトヨタや資生堂、任天堂、第一三共など大手企業が顧客リストに名を連ね、右肩上がりの急成長を続けている。
勝ち組企業がこぞってBoxを導入する理由はさまざま。シンプルな操作性、優れたデザイン、高いセキュリティ性能、業界ごとのコンプライアンス対応など、魅力は尽きない。だが根本には「働き方改革」との密接なつながりがあるといっていい。
Boxを用いると、どのように働き方が変化するのか。Box Japanのセールスエンジニアリング部シニア・マネジャー、西秀夫は「営業担当者が顧客企業を訪問するシナリオ」として、次のような一例を挙げる。
1. 訪問前:iPhoneでBox Notes(リアルタイムで編集可能な文書作成アプリ)を開いて、これまでの訪問履歴を確認。
2. 会議中: Box Notesを使って、議事録をその場で作成(複数人で編集可能)。
3. 会議後:移動時間に、必要な資料などのリンクをスマホから顧客に送信。
「このように、これまで会社にわざわざ戻ってやっていた仕事のほとんどを、会議中や移動時間に終わらせることができます」と、西は説明する。
Boxではデータはすべてクラウド上で保存・管理されるので、資料の共有はリンクを送るだけ。メールへの添付やファイルのダウンロードといった作業が基本的に発生しない。まさにモバイル利用を念頭に置いた、効率を追求したサービスだ。
レヴィはキーノートスピーチでこう思いを語った。「テクノロジーの潮流が合流することで、人々の働き方が変わると思ってBoxを創業したんだ」