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2017.08.22

クアルコムが買収したマシンラーニング企業「Scyfer」の実力

Kobby Dagan / Shutterstock.com

クアルコムは8月16日、オランダに本拠を置くマシンラーニングのスタートアップ企業「Scyfer」を買収した。買収額は明かされていない。クアルコムは今後の人工知能(AI)分野への注力を宣言し、AI関連デバイスの機能の向上を目指していくと述べた。

クアルコムはこれまでほぼ10年にわたりAI分野の取り組みを進めており、近年はスマートフォンや自動車関連のデバイスへの、技術の適用に注力している。AI分野では大手企業のほとんどはクラウドベースのマシンラーニングを行い、大規模なデータセンターでグラフィックスチップを稼働させている。

一方でクアルコムはデバイスレベルでのAIの開発に注力し、信頼性が高く、遅延の少ない技術を生み出し、セキュリティに配慮したプロダクトを生み出そうとしている。同社は最新のSnapdragonチップにマシンラーニングに特化したモジュールを組み込んでおり、「ニューラル・プロセッシング・エンジン(NPE)」と呼ばれるソフトウェア開発キット(SDK)もリリースしている。

今回、クアルコムが買収したScyferは企業向けにAIソリューションを提供する企業で、ヘルスケア関連や製造業、フィンテック等の様々な分野の需要に応えている。同社が開発したAIツールは、企業の売上の予測や医療分野で活用されるサウンド認識、製造現場での品質管理といったオペレーションで活用可能だ。

クアルコムは今回の買収により、Scyferが開発したAIツールと同社が持つ豊富な知見を手に入れ、現状のスマホでの取り組みをさらに拡大させ、長期的視野でこの分野のイノベーションに取り組むことが可能になる。また、マシンラーニング分野で豊富な経験を持つ人材を社内のチームに迎え入れることができる。

クアルコムの担当者は声明で「当社のテクノロジーはコンピュータビジョンから自然言語処理、マルウェアの検知まで、AI分野の様々なイノベーションを支援している。今後はパワーマネジメントや写真の加工など、より広範囲な領域に進出していきたい」と述べた。

編集=上田裕資

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