世界で最も入りにくい大学、「ミネルヴァ」の3つの秘密

ミネルヴァ大学創業者のBen Nelson氏(photo courtesy of Minerva Project, Inc.)


3. 計算され尽くしたカリキュラム
 
設立3年目でまだ卒業生は輩出していないが、ミネルヴァで1年過ごした学生は、アイビーリーグの3年生や4年生が競い合うようなインターンシップを容易くこなすといわれている。その秘訣をBenに尋ねると、迷うことなく「カリキュラムだ」と言う。

そのカリキュラムは、以下4つのテーマに沿って全てが組み立てられているという。

1) どうすれば社会の重要な課題を発見できるか
2) 課題に対するクリエイティブな解を見つけられるか
3) 解を実現可能なレベルに落とし込めるか
4) 課題と解について人に上手く伝達できるか

r

「それはケーススタディでやるの?」と聞くと、「ちょっと違う」という答えだった。人はコンテクストが変わるとアイデアを応用できなくなる傾向が強いため、同じテーマについて異なるコンテクストでいくつも事例をこなすことが大切なのだ、と。

しかも授業の質が属人的にならないように、1.5時間のレッスンプランを書くのに、なんと100時間も費やして開発しているという。このカリキュラム開発のコストがそのまま授業料に転嫁されたのでは、とてもではないが年間1万2950ドルの授業料では収まらない。ここでまた、for-profit wingの存在意義が出てくるのである。つまり、カリキュラムも将来的には有料ライセンス提供する準備がある、と。

キャンパスがないので、当然ジムやラボもないが、ジムについては転々とする各国の都市で勝手に学生たちが契約してカラダを動かし、ラボで研究をしたい学生については長期休み中のインターンシップで大学の研究室や企業の研究所にお世話になるのだそうだ。

話を聞けば聞くほど、今回の訪問が夏休み期間にあたってしまい、学生たちに会えなかったことが惜しまれる。折しも、私がカナダで通っていた同じ高校から、初の日本人生徒がミネルヴァへ入学したという。彼のブログ(http://college.nikkei.co.jp/article/98934016.html)も注目しながら、今後のミネルヴァの発展に期待したい。

ISAK小林りん氏と考える 日本と世界の「教育のこれから」
連載記事一覧はこちら>>

文=小林りん

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事