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2017.08.22

西欧諸国に移民が不可欠な理由 明白な日本との違い

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世代間の問題も

また、英国ではEUからの離脱(ブレグジット)を決定した国民投票で、年齢層による社会の分断が明らかになった。中・高年層の有権者はEUからの離脱を選び、若年層はEU残留を選択した。ただ、残留派はフィンテック関連の仕事に従事するポーランドやイタリア国民の受け入れのためにEUの一員であることを望んだわけではない。さらに、ブレグジット賛成と反対の双方ともに、投票において英国の人口動態の問題を真剣に考慮していたわけではなかった。

経済学者のチャールズ・グッドハートとモルガン・スタンレーのグローバルエコノミスト・マノイ・プラダハンはリポートで、「将来の政治的分断は(移民問題ではなく)、社会的セーフティネットを死守しようとする高齢者世代と自身の手取り収入を確保しようとする労働世代の間の問題になるだろう」と指摘している。税金を納める労働人口が不十分なら、社会保障財源は不足する。税率を引き上げるか、課税ベースを拡大する方法を見つけなくてはならない。

閉鎖社会である日本や韓国の人口問題には、出生率を高めて年少人口を増やすしか解決策がない(中位数年齢は日本が47歳、韓国が41.2歳)。欧州の問題は、両国に比べれば深刻さの度合いは低いといえる。ただ、それでも中位数年齢が42.7歳の西欧、中でもドイツは、出身国・地域を問わず、できるだけ多くの若年人口を移民として確保することが急務だ。西欧諸国にとって、移民の増加は「ベビーブーム」に代わるものに他ならない。

編集=木内涼子

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