米国で進む「若者の旅行離れ」 家賃の高騰と学費ローンが負担に

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米国では最近、ミレニアル世代がアボカドトーストや飛行機代に無駄に金を使いすぎているため家が買えないという主張が話題になっている。ミレニアル世代は金遣いが荒いとも言われ、老後や緊急事態に備えてほとんど貯蓄をしていないという調査報告もある。

しかし、個人向けの金融情報サイト「Bankrate」の調査によると、ミレニアル世代は休暇にお金を使わない一方で、普段の暮らしにお金をかけているという。彼らは娯楽よりも食料品やガソリンなどの生活必需品に多くを出費する傾向がある。

平均的なミレニアル世代の生活費は月額800ドル(約8万7000円)弱で、上の世代よりも50ドルほど多い。外食費や電話代、買い物代行等のサービスに支払う金額が多いのだ。

一方でミレニアル世代が休暇に費やす金額は年間1943ドルで、上の世代の2600ドルよりも少ない。BankrateのアナリストのRobin Saks Frankelは、「ミレニアル世代は一般的に上の世代よりも借金を嫌う傾向にある」という。その背景には賃金が上がらず家賃が上昇している状況下で、旅行になど行けないという事情もありそうだ。

「ミレニアル世代は学費ローンを背負っており休暇に使える予算がほとんどない。しかも年を重ねて家族を持ち始めると食費やガソリン代が増えるだろう」とFrankelは分析する。

将来的にはミレニアル世代がキャリアを積んで裕福になる可能性もあるが、それは当分先のことになりそうだ。「家族を持って住宅を購入する場合、短期的な出費は子供や家計に関するものが中心になる」とFrankelは言う。

ここで言いたいのは、ミレニアル世代がネットで騒がれているほど無駄遣いしているわけではないということだ。上の世代よりも外食が多いのは確かだが、学生ローンを背負っている上、大都市では高額な家賃にあえぎ結婚の時期も遅らせている。米国のミレニアル世代は娯楽よりも生活費に金を使わざるを得ない状況なのだ。

編集=上田裕資

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