「話すリーダー像」の矛盾 必要なのは聞く力

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卓越した著名リーダーの人物像を考えるとき、私たちはそのリーダーが話している場面を思い浮かべることが多い。軍隊を鼓舞するスピーチをしたり、議論を促進したり、明確な方向性を示したり──。だが最近の調査から、実は話してばかりのリーダーよりも、聞くことを好むリーダーの方がはるかに有能だと評価されていることが明らかになった。

私がCEOを務めるリーダーシップ開発支援企業ゼンガー・フォークマン(Zenger Folkman)が実施した同調査ではまた、組織内での地位が高ければ高いほど、人の話を聞くことを好む傾向が高いことも明らかになっている。

調査内容

調査では、577人のリーダーを対象に、話すことと聞くことのどちらを好むかを自己評価してもらい、その結果を分析した。「話すことを強く好む」と回答したリーダーは104人、「聞くことを強く好む」と回答したリーダーは135人で、聞く方を好む人の割合は最高幹部層の63%だったのに対し、監督者レベルでは56%だった。

また、調査対象となったリーダーの能力をマネジャーや同僚、直属の部下などに評価してもらった。各人のリーダーシップ能力を16項目に分けて測定し、全ての評価者グループからの平均評価を算出したところ、16項目中13項目で、聞く方を強く好むリーダーの方が話すことを強く好むリーダーよりもはるかに有能だと評価されていた。

「聞くこと」の利点

これは聞くこと(特に、話し始める前に聞くこと)がリーダーシップ能力に直接影響していることを示す、非常に説得力のある調査結果だ。ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コービーはこの考え方にのっとり「まずは自分が理解し、それから相手に理解してもらうことを求めること」と助言している。今回の調査結果は、効果的なリスニングの持つ力を明確かつ定量的に示す証拠となる。

どうすれば聞き上手になれるのかについてリーダーから話を聞くと、そのための一般的なコツやアドバイスを知っている人が実は多いことが分かる。では、相手の話を聞く方法が分かっているのに、なぜ聞き上手になれないのだろうか?

手短に言えば、リーダーたちは効果的な聞き方というものを実際には理解していないのだ。ここでは聞き上手になるための7つの方法を紹介する。
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編集=遠藤宗生

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