・インターネット産業
マン島で最も発達したクラスターは、間違いなくインターネット産業だろう。マン島経済の約30%を構成し、そのうちネット賭博が約20%を占める。ネット賭博業界を中心に、優れた通信ネットワークやデータセンターのネットワークなどのインフラが発達し、ブロックチェーン技術(特にビットコイン)などの分野への進出を促進してきた。
こうしたプロジェクトの多くは現在ごく初期段階にあり、マン島経済の成長と多様化にどれほど貢献するかを測るのは困難だ。しかし、多数のプロジェクト関係者に話を聞く中で見えてきた共通点として、物事の進めやすさがあった。マン島では基本的に自治が認められ、小規模でもあり、英国本土の多くの場所に比べて政府との連携が容易なのだという。
相互補完的な企業
マン島が標的とする各部門は、クラスター内外を問わず相互補完的なことも特徴だ。成功するクラスターを研究した近年のある調査では、競合しない複数部門にまたがるクラスターが最も強力で優れていると指摘されている。
マン島は圧巻の34年連続経済成長を達成し、テック部門の成長率は昨年8%を記録。現在200社を超えるテック系企業を抱えている。
マン島経済開発局のブライアン・ドネガンは先日筆者に対し、同島がスタートアップ企業に対し他には負けない環境を提供し続けており、特に発展著しいテクノロジー産業の企業や、同産業でのキャリアを求める個人の誘致に力を入れていると語った。
「経済開発局はテック部門の成長、ICTポジション採用プロセスの迅速化と円滑化、未来のリーダー層のICTスキル開発を通じたスキル不足改善のため、日々取り組みを進めている」
成長とイノベーションを目指していない地域などなかなかないが、こうした戦略がマン島ほど成功を収めている場所はさらに少ないだろう。今後もマン島の物語を追い、島の取り組みがどれほど成功するかを見届けるのが楽しみだ。