ザッカーバーグが支援の児童教育団体「10BH」が担う米国の未来

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目的を持たない子供は落ちこぼれる

興味や目的を持たないまま学校に進んだ子供の多くは、落ちこぼれてしまう。チェボー自身、そのような子供時代を過ごした。ドラッグを売り、ギャングとつるみ、一時はホームレス生活を送っていた。「23歳になるまで本を1冊通して読んだことがなかった。あのままストリートにいたら、刑務所に行くところだった」とチェボーは振り返る。

23歳の時、人間の葛藤に関心を持ったチェボーはマルコムXの自伝を読み、自らの生き方を変えた。大学に入り、2009年に10BHを設立。23歳の時に自分が得たILMを、貧困層の子供に幼少のうちに経験してもらうためだ。

2016年、10BHはフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ夫妻の財団Chan Zuckerberg Initiativeから教育メソッドの有効性を明らかにする費用として3万ドル(約330万円)の助成金を受けた。その調査結果は2018年春に発表される予定だ。

10BHはまた、熱心な慈善活動で知られるビリオネアのジョン・A・ソブラトの長女、シェリ・ソブラトの支援を受けているほか、2015年には不動産王のリチャード・ピーリーが運営するピーリー財団からも50万ドル(約5500万円)の助成を獲得している。同財団の理事であるデイヴ・ピーリーは、10BHを支援する理由を次のように説明する。

「問題の成り立ちを理解しないまま解決しようとする団体は非常に多い。小さい子供にとって一番重要な基盤は家庭です。10BHはキンダーガーテンに進むために必要なスキルや訓練を家庭環境で提供する稀有な団体です」

チェボーは「10BHはパーソナライズされた教育メソッドを標準化する方法を模索しているところだ」と話す。十分な資金が集まれば、イースト・パロアルトと並んで貧困層の多いイースト・サンノゼにも進出するつもりだ。

編集=海田恭子

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