世界のクルママニアを魅了した、日本人が手がけるスーパーカー

モーター・スポーツのイベント「ザ・クウェイル」でKode 0を発表したケン奥山氏(photo by Ken Okuyama Cars)

グローバルに活躍する日本の工業デザイナー、ケン奥山こと奥山清行。彼が手がけるのは、新幹線からトラクター、ロボット、家具、めがね、食器と幅が広い。しかし、彼を一躍有名にしているのは、そのスーパーカーのデザインだ。

昨年は、カリフォルニア州モンタレーで開催されるモーター・スポーツのイベント「ザ・クウェイル」で、V12エンジンを搭載するスーパーカーKode57を発表して、観衆をあっと言わせた。そして今年は、息を飲むスタイリングのス−パーカーKode 0(ゼロ)を引っさげて登場する。

アメリカ西海岸の有名なリゾート、モンタレーでは、毎年8月にペブル・ビーチ・コンクール・デレゴンスをはじめ、一連の自動車イベントが開催される。専門家から熱心な愛好家までが集い、究極のクルマのデザインと技術を堪能する祭典だ。由緒あるザ・クウェイルはそのハイライトと言っていい。奥山にとっても自身の手がけた作品を披露するのに最適なステージだ。

華やかな祭典に颯爽と臨む奥山とは、どんな人物か。彼はゼネラル・モーターズとポルシェでデザイナーを務めた後、イタリアへ渡る。著名なデザイン工房ピニンファリーナではクリエイティブ・ディレクターとして、エンツォ・フェラーリやマセラティ・クワトロポルテなどを手がけた。2007年に帰国後、ケン・オクヤマ・カーズ社を設立した。

1970年代をこよなく愛する彼は、その時代にこそ、数々の優れたカー・デザインが誕生したと信じている。それは、伝説のデザイナー、マルチェッロ・ガンディーニが、最高傑作となるランボルギーニ・カウンタックを初め、ランボルギーニ・ミウラ、ランチア・ストラトス・ゼッロを生みだした時代だ。

なるほど、Kode 0は世界を圧倒したストラトス・ゼッロなどにインスパイアされたと見える。そのコンセプトは、70年代ならではのドリーム・カーが持つ華麗なプロポーションを復活させ、最新の技術に融合させている。外観をチェックする前に、内装が意外に光っているのに気づいた。

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ウオ〜、この室内こそ、思い切り70年代のディスコ・ブームの匂いがする。シートの眩しいシルバー色とクロスステッチの派手なコンビを見たときに、有名な3人組ビー・ジーズの名曲「ステーイン・アライブ」が聞こえてきそうな感じがした。このシートには、ディスコ時代の名作「サタデー・ナイト・フィーバー」主演ジョン・トラボルタが最も相性が良さそうだ。
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文=ピーター・ライオン

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