テスラに対する強烈な敵対心
GMがリフトと提携を発表した際にもレバウンスキーはカラニックにメッセージを送り、グーグルの自動運転車開発が遅れているのはアルファベットCEOのラリー・ペイジのせいだと述べていた。
ただし、2名の最大の関心はテスラにあったようだ。メッセージで二人はイーロン・マスクの計画やテスラの事故について盛んにやりとりしていた。
2016年9月、レバウンスキーはカラニックに「イーロンはテスラの事故件数について虚偽の申告をしている」と述べていた。「イーロンはテスラの車両が累計で数億マイルを無事故で走行したとしているが、それは嘘だ。我々はテスラの車両にLDPを設置し、全ての事故を把握するべきだ」とレバウンスキーは述べていた。LDPが何を意味するかは分からない。
その後、レバウンスキーは「我々はイーロンのやったことを告発すべきだ」と述べた。また、マスクがテスラの車両に自動運転分野で必須の技術と言われるLiDARセンサーを搭載しない方針を明らかにした際には、「テスラの技術はニセモノだ。バカなイーロンには物理学の基礎を叩き込んでやる必要がある」と書いている。
二人が競合企業を病的なまでに罵る背景には、ウーバーを自動運転の覇権を握る企業に育てたいという野望があった。今からほんの一年ほど前、彼らは友情を誓い合い、偉大なる未来に向けた野心を燃え上がらせていたのだ。
レバウンスキーはカラニックに「これこそ君にふさわしいスピーチだ」との言葉をそえて、映画「ウォール・ストリート」でゴードン・ゲッコーが「強欲は善だ」と述べた場面の動画を送っていた。
別のメッセージでレバウンスキーは「この大馬鹿どもをぶん殴ってやらないといけない」と述べていたが、二人の最もお気に入りの話題はいかに競争に勝ち抜くかだった。
「さぁ、世界をとりに行こう」とレバウンスキーは当時のウーバーCEOに向けてメッセージを送っていた。「この世を支配するのはロボットなのだ」とレバウンスキーは述べていた。