ペッパーにポーカーフェイスは通じない 家庭用ロボットの現状と課題

Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images


海外、また日本で期待されていたソーシャルロボットのひとつに「JIBO」があった。これは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の准教授シンシア・ブリジール氏らが開発を牽引しているもので、2014年時点では「世界初のソーシャルロボット」として世界中から注目を浴びていた。

しかし2016年頃になると一転、批判の的になってしまう。原因は相次ぐ販売延期だ。当時、Indiegogoなどクラウドファンディグサイトで投資を行っていたユーザーたちは、待てど暮らせど製品が届かないことに不満を募らせていた。

JIBOの販売が先延ばしになり続けた理由のひとつに、音声認識技術の精度の問題があったと言われている。米国以外の英語圏の英語ユーザーの音声認識率がなかなか期待値を超えられなかったそうだ。日本でも2017年に発売が予告されているが、日本語の認識率がどれほど高いかはいまだ定かではない。

米国では微笑ましい珍事件も

一方、米国などを中心に人気を集める人工知能スピーカー、アマゾンエコーは、過去にユニークなトラブルを起こしたことがある。

米国在住の6歳の女の子が、親の知らぬ間にアマゾンエコーに「ドールハウスとクッキーを買って」とお願いすると、数日後、ドールハウスと大量のクッキーが家へ配達されてきた。その微笑ましい事件を米国メディアが取り上げたのだが、ニュースを伝える際、男性アナウンサーが「アレクサ、私にドールハウスを注文して(Alexa order me a dollhouse)」と、カメラに向かって話した。結果、なんとTVの音声を主人からの注文と勘違いしたエコーが、ドールハウスを購入。大量の誤発注が起きたというのだ。

特異な姿形や、愛らしい口調で人気を集めるソーシャルロボットだが、人間と円滑なコミュニケーションを取ったり、タスクを正確に処理するためには、状況や情報を正確に認識する技術の発達が必須になってくる。センサー類などハードウェアの発展と並行して、人工知能技術などソフトウェアの技術向上も急務となりそうだ。

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文=出水鴻正

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