エヌビディアの株価は8月10日発表の第2四半期決算で、データセンター部門の売上がアナリスト予測を下回ったことにより、翌日5%以上下落した。データセンター事業の売上は前年比175%増の4億1600万ドル(約460億円)だったが、アナリスト予測の4億2300万ドルを下回り、前四半期からはわずか2%の伸びだった。
しかし、エヌビディアの株価は14日の取引終了時点で以前のレベルまで回復した。その背景にはアナリストらが、データセンター事業の推移について冷静に見守るよう投資家に呼びかけたことがあげられる。
「データセンター事業の短期的な推移は、エヌビディアの長期的な業績にほとんど影響しない。今後もアップダウンがあることは間違いない」との見解をBernstein ResearchのアナリストStacy Rasgonは述べた。「データセンター事業は長期的な成長の可能性を見るのが重要であり、腰を据えて見守るべきだ」とRasgonは話した。
一方でCanaccord GenuityのアナリストMatthew Ramsayは、11日の株価下落について「エヌビディア株を割安で手に入れる良い機会になった」とした。
AI分野での優位性は今後も続く
Ramsayはエヌビディアの次世代GPU「Volta(ヴォルタ)」を導入したデータセンター事業が今後大きく成長すると予測する。彼によると「Voltaが第2四半期の終わりに本格的に導入されるのを待ってから契約しようと考える大手企業もある」という。
「一部の投資家は直近の数字を見て、エヌビディアのデータセンター事業は、競合にシェアを奪われると悲観したが、我々はそのような見方には否定的だ。アプリケーションに特化したAI機能や、AI向けのテンソルコアを搭載したVoltaベースのデータセンターカードの売上は、今後大きく伸びると見ている」とRamsayは指摘する。
Voltaではテンソルコアと呼ばれるディープラーニング向けの処理に特化したコアを採用し、AI関連の処理を迅速に行える。
今回の決算発表後の会見でエヌビディアCEOのジェンスン・ファンは「人々はVoltaの果たした進歩を絶賛している。このプロダクトを用いれば、従来よりも大規模なディープラーニングが可能になり、より多くのデータを用いたトレーニングが行える」と述べていた。
エヌビディアのGPUは、データセンターや自動運転車に搭載されるAIコンピューターの主要コンポーネントとしての地位を確立しつつある。