GEの新CEOが駆使する、効果的なコミュニケーション術

GEのジョン・フラネリーCEO(Photo by Hemant Mishra/Mint via Getty Images)

ジョン・フラネリーはゼネラル・エレクトリック(GE)の新たな最高経営責任者(CEO)としての初日、従業員30万人に向けた文書を送付した。同社のCEO交代は16年ぶり。そこでフラネリーは、自身が今後の方向性を明確に定めていることを示してみせた。

「私は次の3点に執拗に集中していく」とフラネリーは記している。その3点とは「顧客」「チーム」「執行/説明責任」だ。

フラネリーは、全ての従業員が顧客を「指導原理」として捉え、それに集中するべきだと訴えた。さらに、素晴らしいチームとは透明性と率直さを歓迎するものだと指摘。最後に、自身が面会した投資家100人が「現金、利鞘に関する執行の改善を期待し、コスト削減に重点を置いている」と述べた。

なぜフラネリーは、焦点を18点、もしくは10点、または5点に絞らなかったのだろうか。それは、彼がビジネス上のコミュニケーションの基本ルール、つまり、人は短期記憶で重要なポイントを3~4つしか保持できないことを理解しているからだ。

人は多くのことを一度に処理することがあまり得意ではない。3つの目標は覚えやすく、10や12の目標よりも達成しやすいと思えるものだ。

フラネリーはこの3点ルールを好んで使う。2015年、当時GEヘルスケアのCEOだったフラネリーは会議での壇上でこう述べた。「いろいろな事について語ることもできるが、顧客とのやり取りの中でいつも思い出される基本的なことが3つある。それは情熱、変化の速度、そして信頼できるパートナーだ」

また、ジェフリー・イメルトに代わりGEの新CEOに任命された際の記者会見でコメントを求められた際、フラネリーは立ち上り、CEO就任を受け自身が謙虚な気持ちになる以下の「3つの理由」を簡潔に述べた。

1. イメルトの後を継ぐことに、謙虚な気持ちになる。
2. 世界中の人々の生活を変えてきた企業を率いることに、謙虚な気持ちになる。
3. 30年間GEのために働いてきたことに、謙虚かつ誇らしい気持ちになる。

フラネリーは優れたコミュニケーションスキルを持っているに違いない。コミュニケーション能力が高くない人物がGEのCEO候補者になることはない。
次ページ > 伝説的CEOの元スピーチライターが語る、リーダーに必要なスキル

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事