「私は次の3点に執拗に集中していく」とフラネリーは記している。その3点とは「顧客」「チーム」「執行/説明責任」だ。
フラネリーは、全ての従業員が顧客を「指導原理」として捉え、それに集中するべきだと訴えた。さらに、素晴らしいチームとは透明性と率直さを歓迎するものだと指摘。最後に、自身が面会した投資家100人が「現金、利鞘に関する執行の改善を期待し、コスト削減に重点を置いている」と述べた。
なぜフラネリーは、焦点を18点、もしくは10点、または5点に絞らなかったのだろうか。それは、彼がビジネス上のコミュニケーションの基本ルール、つまり、人は短期記憶で重要なポイントを3~4つしか保持できないことを理解しているからだ。
人は多くのことを一度に処理することがあまり得意ではない。3つの目標は覚えやすく、10や12の目標よりも達成しやすいと思えるものだ。
フラネリーはこの3点ルールを好んで使う。2015年、当時GEヘルスケアのCEOだったフラネリーは会議での壇上でこう述べた。「いろいろな事について語ることもできるが、顧客とのやり取りの中でいつも思い出される基本的なことが3つある。それは情熱、変化の速度、そして信頼できるパートナーだ」
また、ジェフリー・イメルトに代わりGEの新CEOに任命された際の記者会見でコメントを求められた際、フラネリーは立ち上り、CEO就任を受け自身が謙虚な気持ちになる以下の「3つの理由」を簡潔に述べた。
1. イメルトの後を継ぐことに、謙虚な気持ちになる。
2. 世界中の人々の生活を変えてきた企業を率いることに、謙虚な気持ちになる。
3. 30年間GEのために働いてきたことに、謙虚かつ誇らしい気持ちになる。
フラネリーは優れたコミュニケーションスキルを持っているに違いない。コミュニケーション能力が高くない人物がGEのCEO候補者になることはない。