クロスカップリングを成功させる方法
ただし「それなら今すぐに」とできる話ではない。クロスカップリング反応を起こすにあたり必要なものがある。触媒だ。
いまの日本の産業を見てみると、ものづくり、インフラ、通信などハードのビジネス領域と、アルゴリズム、データ、コンテンツなどソフトのビジネス領域は、別々に存在しているといっていい。MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏の言葉を借りれば、 「B.I.(Before Internet) 」と「A.I.(After Internet)」という二つの世界に分けられている。
一方、近年急激に価値を上げているウーバーやエアビーアンドビーなどの企業をみると、これらはB.I.とA.I.両方が掛け合わさったビジネスであることに気づく。ポケモンGOもそうだろう。
B.I.とA.I.のクロスカップリング反応、これからのビジネスモデルはこの反応から生まれる。その触媒となるものこそ、新しいテクノロジーである。
今この記事を読んでいる皆さんには、新しいテクノロジーを触媒にして生み出した、新しいビジネスモデルを仕掛けていってほしい。そういった人が1人や2人ではなく、大げさだが1000、2000単位で出てきてほしいと思う。それには、社会的インフラを整えるために様々なルールも変えないといけないのだが。
成功すれば勝ち。失敗しても経験となり次に確実に活かされ、成長のための糧となる。大切なのはトライアルとレジリエンスだ。恐れも遠慮もいらない。信念を持って構想と思いをぶつけてほしい。ビジネスでのクロスカップリング反応は、実現する。
次回、Dに続く(9月14日公開予定)。
出井伸之による連載「The IDEI Dictionary 〜変革のレッスン〜」
過去記事はこちら>>