問題の1109カラットのダイヤモンドは、カナダの探鉱会社ルカラダイヤモンドがアフリカ南部のボツワナで発見した。過去約100年に発見されたダイヤとしては世界最大だという。このダイヤはボツワナの言語で「わたしたちの輝き(Our Light)」と名づけられた。
ルカラダイヤモンドはこのダイヤを7000万ドル(約77億円)以上で売ろうとしたが買い手がつかず、苦渋の決断として、小さなサイズに砕いて販売することにした。ルカラダイヤモンドの株価は昨年8月から40%の下落となっており、同社は今回の決定により再び株価を上昇させることを狙っている。
オークションでこのダイヤは設定金額を900万ドル下回る、6100万ドル(約67億円)の入札を受けていた。金額が伸びなかった背景には、このような巨大なダイヤを正確に分析するテクノロジーの限界がある。1000カラットを超えるダイヤの原石は、現状のほとんどの検査ツールで傷の有無や純度を確認することが不可能で、最終的にどのような値づけがふさわしいかを算定できない。
また、あまりにも巨大すぎるため、原石の加工には数ヶ月から数年の期間が必要になってくる。原石を販売するためには、内容を分析し最適なカットデザインを見つけ出す必要がある。リサーチと加工の作業には膨大な時間がかかるのだ。
金額の大きさや作業の複雑さから考えて、売却先の候補はごく限られている。その一つがイギリスのダイヤモンドディーラーGraff Diamonds創業者のLaurence Graffだ。しかし、現時点でルカラダイヤモンドは売却先をまだ決めていない。
今年5月、ルカラダイヤモンドは373カラットのダイヤの原石を1750万ドル(約19.2億円)でGraff Diamondsに売却した。このダイヤは問題の1109カラットのダイヤの一部だったが、採掘の過程で本体が壊れて切り離されたものだ。
ダイヤモンドの発掘現場では技術の進歩により、以前より大きなダイヤが採掘可能になっている。ここ数十年で、巨大なダイヤの原石が発掘されるケースは増加している。