ビザスク社長が「家事代行」無料利用制度を導入した理由

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転職、資格取得、離婚、起業と密な時間を駆け抜けたビザスクの端羽英子さん。社長業とシングルマザー業の両立をさらに充実させるために彼女が最近始めたこととは?


投資銀行で企業ファイナンス、外資系消費財メーカーで予算立案・管理、投資ファンドで企業投資の経験を積んだのち、2012年にビザスクを起業しました。現在、成長を志す個人や企業とビジネス経験豊富な人材の知識をマッチングするサービスを提供しています。

転職の合間には、USCPU(米国公認会計士)の資格を取ったり、夫のボストン留学時には私自身もMITスローンスクールでMBAを取得したりしました。その後、離婚も経験し、いまは中学3年生の娘をひとりで育てています。

社長業とシングルマザー業を十分に両立させるためには、時間を有効に使わねばなりません。そこで典型的な夜型だった生活を、朝型に切り替えました。「起床6時、就寝0時」を徹底し、会食も夜はやめてランチにまとめ、週末は朝のジョギングを習慣化。同時に、平日は朝の間にその日のタイムスケジュールとTO DOリストを仕上げるようにしています。

自分の手で書いて「見える化」するのは思った以上に効果が高く、朝型生活と合わせて以前より優先順位がはっきりし、時間も長く感じられるようになりました。

社内に対しては、4月から月2回までの家事代行サービス全額補助制度を始めました。これも自分が家事代行を体験して、時間を有意義に過ごすことの大切さを、身をもって感じたから。

子育て中のメンバーに勧めてみると、金銭的な問題より「家事を人に頼むなんて申し訳ない」という罪悪感のほうが大きいとわかったので、「使わないともったいない!」と制度を利用してもらうために全額補助にしました。いまでは子育て中の女性の他、独身男女も含め、社員の半分以上が利用しています。

部屋がきれいになれば気分もアップするし、なによりその時間を有効に使おうと考えるようになる。仕事をひとりで頑張りすぎるきらいのある女性社員から「人にものを頼んでもいいんだと思えるきっかけになりました」という、嬉しいメールももらいました。

生産性やクリエイティビティを上げるためには、社員全員で学べる場をつくることが大切です。効果的だと思っているのが、ミーティングのフォーマットを定期的に変えることと、読書感想を書き込める社内チャット。自分ひとりで学べることはたかが知れている。みんなの学びをみんなで共有すれば、チーム全体の学びが掛け算式に大きくなると実感しています。
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文=堀香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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