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2017.08.15

フェイスブック、個人間売買「マーケットプレイス」を拡大 欧州全域に

ArthurStock / Shutterstock.com

8月14日、フェイスブックはユーザー間で商品売買ができる「マーケットプレイス」を、ヨーロッパ全域に拡大していくと宣言した。

マーケットプレイスは米国で昨年10月に始動し、米国外ではオーストラリア、カナダ、英国、ニュージーランド、チリ、メキシコの6カ国で利用可能になっている。今後はフランスやドイツ、アイルランド、イタリア、スペイン等の17カ国で新たに利用が可能になる。

フェイスブックによると、今年5月に米国だけで1800万アイテムがこのプラットフォームに出品されており、出品数の増加が続いている。毎月およそ5億5000万人の人々が「buy-and-sell(売ります、買います)」のフェイスブックグループを訪れているが、今後はさらに大規模な成長を見込んでいる。

競合サービスの数字をあげると、30カ国以上で展開中のeBayは直近の四半期で1億7100万人に利用されていた。調査企業コムスコアはまた、今年2月のクレイグリストの利用者が5500万人だったと報告しており、クレイグリストは昨年6億9000万ドル(約760億円)以上の個人間売買の売上をあげていた。

モバイル経由のEコマースは急激に成長を遂げている。eMarketerの資料ではスマートフォンを用いたEコマースの売上は今年、米国だけで1000億ドル(約11兆円)を突破するとされる。その数字は2021年には3330億ドル(約37兆円)に達すると見込まれ、全Eコマース売上の80.5%を構成することになると予測されている。

フェイスブックはこの分野で、同社が収集した個人データの活用が大きな強みになると目論んでいる。マーケットプレイスを担当するDeborah Liuは先週のインタビューで「買い物をユーザー同士の交流に結び付けられるのは、他社には無い強みといえる。マーケットプレイスは人々のつながりを基盤としたEコマースのプラットフォームだ」と述べていた。

AIで不正アイテムの出品を防止

マーケットプレイスで売り手と買い手はメッセンジャーで会話を行い、アプリ内の決済機能も使用できる。また、位置情報の共有やボイスやビデオの送受信といった機能も利用可能だ。

フェイスブックはマーケットプレイスに独自のAI(人工知能)技術を用いたサーチ機能を投入し、悪質な出品者や不正なアイテムの出品の防止に努めている。また、ユーザーがフラグを立てたアイテムの精査を行う仕組みも導入済みだ。フェイスブックはこのプラットフォームを設立以来、検索機能の向上や、利用者の安全の確保に努めてきた。

マーケットプレイスでは既に、衣類や家具、子供向けアイテムといった家庭関連の商品が人気を博している。また、チケット販売や求人広告に特化したカテゴリも新設している。

マーケットプレイスのアイデアは、以前からフェイスブックグループを通じて多くの人々が、共通の趣味や地域の属性をもとに、商品の売り買いを行っていた事実から着想したという。マーケットプレイスは売り手、買い手ともに手数料無料で利用可能だ。

「人々は商品の売り買いを通じて交流を行っている。マーケットプレイスを通じて、今後さらに多くの人々のつながりを生み出していきたい」とLiuは述べた。

編集=上田裕資

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