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──そんな子ども時代を過ごしたお二人は、現代の子どもたちにメッセージを送るなら、どんなことを伝えたいですか?

橋本:僕はずっと、思考力を大事にしてきました。子どもたちも、意志を持ち、自分で未来を選んで進んでいく力を身に着けてほしいですね。

猪子:ご自身のお子さんには、どんなふうに接してるんですか?

橋本:平日の夜は早く帰宅して一緒に食事をしたり、テレビを見たりしています。先日、テレビで機械化された寿司屋が特集されていて、機械でどんどん寿司が握られていく様子を二人で「すごいな!」って感動して見ていたんです。すると子どもが、「もう人間はいらないね」って言ったんです。でも、機械を作る人がいるし、どんなネタを載せたら美味しいかを考える人もいる。考えるのが人間の役目だと伝えました。

猪子:橋本さんらしい教えですね。何か、具体的な教育方針があるんですか?

橋本:何でも自分で選ばせるようにしています。欲しいものがあると言ってきたら、5つぐらい持ってきて自分で選ばせる。テストの点数だけに注目すると、悲惨なんですよ。でも日々考えて、選び続けるっていう行為をさせ続けた結果、子どもながらにコンセプトを立てるのは上手いですね。

猪子:幼少期からコンセプト作りを学ぶっていうのはいいことですね。チームラボも、常にコンセプト立てを重要視しています。

例えば、『学ぶ!未来の遊園地』というプロジェクトの中で、「グラフィティネイチャー - 山と谷」という作品があるんですが、小さな山や谷がある立体的な室内空間に、子どもたちが描いた花や動物の絵が映し出されているんです。これが簡単な生態系になっていて、蝶が花に近づくと花が増える。一方、蝶はトカゲに食べられ、トカゲはカエルに食べられてしまうんです。立体的な室内空間で生態系を学ぶことができるんですよ。まさに空間認識能力を育む新しい遊園地です。

橋本:最初の質問からキレイにつながりましたね(笑)。

猪子:自分で言うのもあれですが、僕、賢いんで(笑)。とにかく、僕は人間の本質的な能力を育てたいんです。

橋本:でも潜在的な意識への呼びかけってすごく大事だと思います。何かきっかけがあると、子どもは何でも知りたがるから。

猪子:本当は、徳島のように本物の自然がある場所で学べるといいんだけどなぁ。都会って、ある意味異常な空間なんですよ。垂直と水平だけ。大人も子どもも、どんどん身体性を失っていく。歩きスマホも、街中ではできますけど、森の中では絶対にできないじゃないですか。身体性における要求レベルが、それくらい違うってことなんですよ。

橋本:確かに! 森の中で歩きスマホをしたら、命を落としかねませんね。

猪子:もともと、世界は体で認識するものなんです。最近は知識を蓄えるだけで世界を知ったつもりになっている人が大勢いるけど、人間は本来、全身を使って世界を知っていくべきなんです。それがチームラボの共通認識。今後も、身体性を刺激するイベントを世界中で開催していきたいと思っています。[第2回に続く]


猪子寿之/チームラボ代表◎1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。https://www.teamlab.art/jp/

橋本淳/ジュンハシモト デザイナー◎1992年、地元徳島のセレクトショップでインポートや古着を仕入、販売。1996年、レクレルール日本一号店にてバイヤーを務める。2000年、単身イタリアに渡り、伊ブランド「カルペ ディエム」を運営する会社初の外国人スタッフとし、営業・企画に携わりながら、服作りを学ぶ。2003年、同ブランド代理店を設立するため帰国。翌年、ショールーム「wjk」を設立。2008年、自身のブランド「ジュンハシモト」をスタート。

インタビュー=谷本有香 構成=華井由利奈 写真=藤井さおり

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