同社は8月9日、アプリ内に動画専用タブの「Watch」を新設すると発表した。同社は月間20億人に及ぶ利用者らに向け、オリジナルの動画番組や友達が気に入ったビデオをレコメンドしていく。視聴者はWatchタブからお気に入りのクリエイターをフォローでき、動画を楽しみながら友人とチャットをすることもできる。
スポーツやコメディ、ドラマ等の豊富なコンテンツが用意され、提供元にはナショナルジオグラフィックや、メジャーリーグ、ヒストリーチャンネルで知られるA&Eネットワークらの名前があがっている。Watchタブは既に米国の一部のユーザー向けに公開されており、今後は世界各国に提供範囲を拡大していく。
「フェイスブックで得られる体験を、動画の提供を通じてさらに拡大していく」と同社のマーク・ザッカーバーグCEOは述べた。「ビデオを観る行為は従来の受け身なものではなく、視聴体験を共有し、同じ関心を持つ人々同士を結びつける役割を果たしていく」
フェイスブックが巨大なユーザー人口を基盤にこの戦略を押し進めていけば、ユーチューブのビジネスを脅かすことになる。現状で月間10億人の利用者を抱えるユーチューブは、この分野の最大勢力だ。しかし、フェイスブックの動画タブの開設により、ユーチューブ上のインフルエンサーや有名クリエイターらのうちの一定数が、フェイスブックに移行することが想定される。ユーチューブでは視聴できない動画がフェイスブックにあるということになれば、動画タブは熱心な動画ファンを集め、フォロワー数をさらに伸ばしていくだろう。
ジェシカ・アルバの健康番組も登場
「これはユーチューブにとって明確な脅威だ」と、ソーシャルメディアのリサーチ企業Captiv8の共同創業者のKrishna Subramanianは言う。「フェイスブックのユーザーらは毎日このプラットフォームを訪れ、友人や家族や有名人のコンテンツを眺めている。動画タブのコンテンツの視聴時間はユーチューブのそれを超える可能性を秘めている」
フェイスブックは動画タブから得られる広告収入を、パブリッシャーらに還元する。動画タブはフェイスブックに新たな売上をもたらすことになる。この分野は競争の激化が進み、スナップチャットもモバイルアプリ内でオジリナル動画の提供を開始している。
しかし、フェイスブックの動画タブでは女優で起業家のジェシカ・アルバがホストを務める健康番組も提供される。また、有名映画プロデューサーのネブ・シュルマンが手がける恋愛アドバイス番組の公開も予定されている。
「人気の高いコンテンツを提供すれば、人々のフェイスブックの利用時間はさらに伸びるだろう」とSubramanianは述べた。