ビジネス

2017.08.20

良い行動を習慣化させる、スターバックス流のフィードバック

従業員のことを「パートナー」と呼ぶスターバックス。同社はパートナーの働きがいを大切にしている。

従業員満足度を高めることが、顧客満足度を高める──この考えを大切にしているのが、日本でもお馴染みのコーヒーチェーン「スターバックス」だ。

同社は従業員のことを“パートナー”と呼ぶなど、一緒に働く人を大切にする。実際、同社が掲げる「6つの原則」での優先順位は、顧客よりも従業員のほうが高い。

なぜ、スターバックスは従業員満足度を何よりも大切にするのか。その根底には同社の創業者である、ハワード・シュルツの経験がある。『スターバックス成功物語』(日経BP社)には、シュルツ氏は過去に父親が職場で不当な扱いを受けたことから、「従業員を歯車のように扱いたくない」「従業員には誇りを持って働いてもらいたい」という思いを強く持つようになったということが書かれている。

同社では週20時間以上勤務するパートタイマーを含めた全社員を対象に、健康保険とストックオプションを付与。また、研修や人材育成に多大なリソースを割いている。同社の経営理念は「お客様に感動経験を提供して、人々の日常に潤いを与える」こと。この理念を、年間80時間をかけて行う研修の中で説いていく。

研修を終え、店舗へ配属された後もパートナーの育成は続く。具体的に行うのは「是正」と「強化」のフィードバック。是正のフィードバックでは失敗してしまったとき、「なぜ?」と問いかけ、原因を自分の頭で考えさせる。

強化のフィードバックでは良い行動に対して褒めるほか、何が良かったのかを本人に分析させ、行動を習慣化できるようにしている。

パートナーの研修だけでなく、1年以上働き続けた人に対し、株式を授与する「BEAN STOCK」制度なども導入。スターバックスは従業員とのエンゲージメントを高めていくことで、顧客の満足度も高めていっている。

スターバックスの「働く」を楽しませる仕掛け
・従業員専用のSnapchatアカウントの作成
・「BEAN STOCK」制度の導入
・各店舗を中小企業のように扱う

文=Forbes JAPAN編集部 写真=ラミン・ラヒミアン

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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