ビジネス

2017.08.19

「おカネの使い方」を教える米国と教えない日本

everything possible / shutterstock.com


米国との差は、国民性にあるとしか言いようがないのか。しかし、やや子細に見ると3つの大きな違いが浮き彫りになる。

エクイティ・ストーリーへのコンセンサス、教育、それにシリコンバレーである。

米国では、エクイティ・ストーリーの実現が国民的コンセンサスだ。成功者は礼賛される。日本では、エクイティ・ストーリーは博ばく打ち 、成功者はどこかいかがわしい成り金扱いされる。

米国の投資教育は学校レベルで丹念に実施されているのに、日本では学校は金儲けを教える場ではないと、教科書に投資について1行入れるかどうかで揉める。

米国の起業から上場に至る流れはリニアで、シリコンバレー以外にも創業集約地域がいくつもある。日本では、エンジェルを探すのに一苦労し、特区が何度となく試されながら大きな成功例がない。

これらの解決策は帰するところ、教育の改善と政治家の認識一新にある。経済の低成長と人口減による縮み社会の中でいかに個人のマネープランを構築すべきか、あるいは再度経済を成長軌道に乗せるために、金融面で何が必要か、について冷静に考えれば、エクイティを中心にした証券投資の重要性は明らかだ。

学齢期から投資の意義について謬見(びゅうけん)なく教え、政治家諸氏にはリーダーとしての見識を持っていただきたい。おカネの使い方と守り方を学べなかったため、せっかくセレブになったのに大金を費消して、人生を台無しにしてしまった人も少なくないのだ。

加えて、証券会社など仲介者の顧客フレンドリーな姿勢を徹底していくことが大切だ。複雑な金融商品であればあるほど、わかりやすく徹底した情報開示が不可欠。リスクは理解して初めて、それを取るか取らないか、を決められるのである。

文=川村雄介

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事