10人の会議を3000人が観る、「ライブ会議」の可能性

国際会議も行える会議の聖地。あまりのアイデア放出に、マシ・オカ氏も「ヤッター!」と叫ぶ!?


僕が個人的にやりたい会議は、今年12月に故郷・天草で開局予定の「あまくさシティエフエム」に関するもの。「開局日の最初にかける曲を何にするか」を真剣に、それこそ町の一大事レベルで話し合いたいと思っている。天草出身の演歌歌手の曲にしよう、いやクラシックがいい、熊本なんだから「くまモン音頭」でしょう、なんていろんな意見が出て、すごく楽しいに違いない。

少なくとも会議や投票に参加した人は「あまくさシティエフエム」のファンになっていくのではないだろうか(いまはインターネットでラジオが聴けるから、世界中にファンをつくれる)。ちなみに周波数は88.8MHzと、非常に縁起がよい。先行きがとても楽しみだ。

ニッポンの活性化のために
 
あらゆるスポーツや武道に、最高の場というものが存在する。高校野球なら甲子園。相撲なら国技館。テニスならウィンブルドン。そのような、人が最終的に目指す究極の場を、会議に関してもつくってみたらどうだろう。会議にもっと積極的に参加し、ワクワクするアイデアを出せるようになれば、ニッポンはもっと活性化すると思うのだが。
 
会議のメンバーは最大で10人とし、彼らが座る丸テーブルを、3000席ほどの観客席が取り囲む。会場内には、会議メンバーがそれぞれ映るカメラや、資料を映すモニターが設置されている。『朝まで生テレビ!』をライブで見るような感じだ。会議室の使用料は無料にして、テーマが議論するに価するかどうかはオーナーが決める。大前提は「社会に幸せの種を蒔くこと」。だから、いつかその場所は、“会議の聖地”となる。
 
予算だが、1964年に開館した約1万人キャパの日本武道館の総工費は約18億円、73年にオープンした約4000人キャパのNHKホールが約33億円だから、3000人キャパのシンプルなコロッセオ型会議室であれば、いまなら50億円ほどで立派なものができるのではないだろうか。

ここはやはり、国内外に大中小さまざまな会議室を1750以上も運営している、貸し会議室の大手企業ティーケーピーの河野貴輝社長に、頑張っていただきたい。ちょうど今年3月に上場したばかりですし、社会貢献としていかがでしょうか。
 
弊社では月に1度、社員にその道の専門家や第一人者の話を聴かせる「オレンジサロン」という場を開催している。以前、アメリカの連続ドラマ『HEROES』で一躍有名になった俳優のマシ・オカさんに来ていただいたとき、彼は「ここは安全な空間です。誰が何をいっても叱られることもないし、殺されることもない。思ったことをいっていい場なんですよ」といった。

安全な空間であることは会議室の最大の使命だ。冒頭で述べた言葉になぞらえるなら、「世界でもっとも安全な戦場」、それが会議室である。

【連載】小山薫堂の妄想浪費 過去記事はこちら>>

文=小山 薫堂

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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