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2017.09.29 14:30

インディ500のパイオニア、ヒロ松下が手がける最新ドローン


これに対してVTOL機の場合、垂直離着陸以外の水平飛行時にはモーターの推力が少なくてすみ、バッテリーの消耗が小さい。020の場合は100km以上の飛行が可能です。

そのかわり、垂直離着陸時から水平飛行への移行時の機体制御が難しく、そのソフトウェアの開発には高度の技術が必要となります。また機体そのものもプロペラ以外にも可動部品が必要なので、開発コスト、機体コストともにマルチローター機と比べて高価になってしまうのです。

(筆者註:開発費についてはやはり秘密。020はどのくらいの価格になるかとの質問には、VTOL機とは違うがガソリン燃料で飛び、飛行時間が020に近いヤマハのR・MAXでも1000万円くらいです、との答え。またVTOLを販売しているのは世界で数社……とのこと)


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開発中のスイフト020と開発スタッフ。見慣れたクアドローターのドローンとはまったく違う形と大きさだ。

では、VTOL機の特長を活かした商用利用についてどのようなものが考えられるのかというと、まずメディアでよく書かれているような物流への利用(都市部でのデリバリー等の用途)にはまだまだ問題が山積み。都市部においての自動航行にはVTOL機もマルチロ―ター機も危険が多すぎるのです。

現在可能な用途は以下のとおり。これらはすべて、少なくとも20~30km以上の航続距離が必要で、電気モーターを使用するマルチモーター機ではカバーしきれないのです。まさにVTOL機に適した使い方です。

1. 災害発生時の被害状況調査や緊急医療
2. パイプラインや高圧線、線路等のインフラのメインテナンス
3. 火山やガス田等の科学的調査
4. 農業や漁業への利用
5. 地上インフラの乏しい地域の小型品の物流
6. 軍用、防衛用

商業用のドローンのマーケットは世界的にまだ生まれたばかりの赤ん坊のようなものです。日本を含めてドローン、特にVTOL機のレギュレーションははっきり決まっておらず、有効な商業利用に向けて、きっちりとした法整備が必要ですが、上手く利用すればとても優れたツールだと思います。

020は来年の発売を目標に開発最終段階に入っています。商品には絶大の自信があります。ぜひ期待していてください。


ヒロ松下◎1961年生まれ。56歳。甲南大学卒業後渡米。フォーミュラアトランティックでチャンピオン獲得後、1990年から1997年までインディカーシリーズにフル参戦。ルマン24時間レースにも参戦。スイフトエンジニアリング会長兼CEO。アメリカと日本を行き来している。

文=勝股優

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