現代の奴隷を取り巻く状況が世界で最も悪化した国はルーマニアで、リスク度の順位は56位低下して66位となった。ルーマニアとイタリア(133位)はEUの中でも違反行為の内容が最も深刻で、隷属状態や人身取引などの過酷な強制労働が報告されている。
2017年になってEU諸国に入国した10万人を超える移民のうち、85%がイタリアに到着した。同調査では、農業をめぐる懸念から、来年のイタリアでの現代の奴隷リスクはさらに悪化すると予測している。
また同調査によると、ギリシャに到着する移民の数は2016年のEU・トルコ間の難民合意以降で激減した。だがギリシャは多くの移民を抱える上、引き続き人身取引の主要目的地となっている。
EU外では、トルコが世界で2番目に大きな順位変動を経験し、リスク度の高さが110位から58位となって「高リスク」グループに転落した。同調査では「シリアの内戦を逃れて10万人を超える難民が流入し、トルコの労働許可制度が制限的なこともあって何千人という移民が不法労働をしている。政治弾圧に注力する政府にとって、労働違反の取り締まりもはや優先事項ではなく、リスクがさらに増加している」と報告している。
アジアでは、製造業の中核を担うバングラデシュ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイが現代奴隷指標で「非常に高リスク」または「高リスク」に分類された。