テクノロジー

2017.08.15 07:00

エヌビディア、好決算でも株価下落 AI部門も競争激化の懸念

NVIDIA創業者兼CEO、ジェンスン・フアン(Photo by Ethan Miller/Getty Images)

NVIDIA創業者兼CEO、ジェンスン・フアン(Photo by Ethan Miller/Getty Images)

エヌビディアは8月10日、第2四半期決算を発表した。売上はアナリスト予測を上回り22億3000万ドル(約2345億円)に達した。しかし、同社の株価は時間外取引で一時8%の下落となった。
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エヌビディアの株価は過去12ヶ月で3倍近い上昇を遂げていた。同社はこのところAI(人工知能)領域で存在感を高めてきたが、関係筋からは過剰な期待だったのではとの懸念も浮上している。

エヌビディアの屋台骨を支えるゲーム部門の売上は前年比52%増の11億9000万ドルとなった。同社の「Tegra」チップを用いるニンテンドースイッチの好調な売上も業績を後押しした。

データーセンター事業の売上は前年比175%増の4億1600万ドルに達したが、前四半期からの伸びは2%に留まっており、一部からは失望の声もあがった。自動運転部門の売上は前年比19%増の1億4200万ドルだった。大手自動車メーカーらの多くはエヌビディアの半導体を、自動運転技術の確立に必須の製品とみなしているが、この分野は依然としてテスト段階と位置づけられている。
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エヌビディアの今後の業績を左右するのが、競争が激化するAI分野での覇権を握れるかどうかだ。同社は今年5月に次世代のGPUアーキテクチャとなる「Volta(ヴォルタ)」を発表。Voltaにはテンソル(Tensor:多次元配列)演算処理のための専用コアのTensorコアが統合され、ディープラーニングの性能が大幅に向上している。

決算発表後の会見でエヌビディアCEOのジェンスン・ファンは「人々はVoltaの果たした進歩を絶賛している。このプロダクトを用いれば、従来よりも大規模なディープラーニングが可能になり、より多くのデータを用いたトレーニングが行える」と述べた。

グーグルとの競争も激化の懸念

エヌビディアはVoltaの技術を用いたチップを「Tesla V100」との名称で、データーセンター向けに投入しようとしている。この分野で同社はグーグルやインテルらと激しい競争に突入することになる。

グーグルはディープラーニング専用プロセッサの「TPU:Tensor Processing Unit」を既に公開しており、インテルもAI領域のスタートアップ企業のNervanaを昨年買収した。また、Graphcoreを筆頭に将来有望なAI向けカスタムチップを開発する企業が続々と登場している。

また、最近ではビットコインのマイニング向けのGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)需要がエヌビディアや競合のAMDの売上を押し上げてはいる。しかし、どこまで成長が続くかは未知数だ。

「新たなアルゴリズムが出ては消えていくなかで、この分野の成長が確実であるとは言い難い。市場規模は拡大するとしても、ビットコインの価格変動の影響を受けやすいこの分野がいつ、どの程度の規模に達するかは予測が難しい」とCEOのファンは以前のインタビューで述べていた。

編集=上田裕資

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