日本の高等教育は「無償化」に値するか

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東大は世界39位、京大は91位

また、現在の日本国内の高等教育が、果たして一律無償化のために膨大な国家財政を投入する価値があるものか、ということも改めて考えておく必要がありそうだ。

授業内容、研究、国際性、外部評価など13の項目から多角的に高等教育機関を評価することで知られるTimes Higher Educationの世界大学ランキングによれば、東京大学の教育の質は2017年時点で世界39位。2011年は26位、2012年に30位、2016年に43位と下げていたのが微妙に持ち直した格好である。

2011年に57位だった京都大学に至っては、国際化などの分野で遅れをとり、2017年には91位へ順位を落としている。

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THEの世界大学ランキング、東京大学と京都大学の推移 (出典:Times Higher Education)

もちろん、この世界ランキングが全てではないし、ノーベル賞受賞者を輩出するような理系学部、ユニークな教育をする一部国公立・私立大学、あるいは秋田の国際教養大学のように革新的な取り組みが短期間で評価を得ている新設大学(2004年設置)も、存在することは事実だ。

国際教養大学では、外国人教員が5割を超え、全ての授業が英語で行われているだけでなく、1クラス20名以下の少人数教育の中で徹底したクリティカルシンキングスキルを培うという。在学中に義務付けられた1年間の海外留学で、学生は様々な価値観を吸収する機会があるほか、キャンパス内に9割近い学生が居住し、図書館(写真下)は24時間利用できるというから、まさに海外のリベラルアーツ教育がここに実現していると言っても過言ではないだろう。

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(写真:国際教養大学ウェブサイトより)

筆者は、こうした画期的な取り組みが実現できた背景には、国際教養大学が新設校であったところにカギがあると考えている。その背景について、次回詳しく述べてみたい。

文=小林りん

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