増加する「多忙中毒」 忙しさ自慢をやめるべき理由

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忙しいことは良いことだという場合もある。生産的に物事をこなしているのかもしれない。しかし、あまりに多くのことに手を出し過ぎて息つく暇もないのであれば問題だ。

私がキャリア指導を行うクライアントのトムはある時、約束の時間を30分過ぎて到着した。私は顔をあげ、片方の眉をつり上げた。すると彼は「何ですか? とても重要なプロジェクトに取り組んでいて、抜けられなかったんですよ」と言った。

トムはそれまでも予約の変更や遅刻を繰り返していた。毎回謝罪の言葉はなく、自分がいかに多忙で、仕事のプロジェクトにどんなに多くの時間を費やしているかについて、得意げに話すだけだった。

「眠る時間だって十分にはないのに、キャリア開発に集中する時間なんて皆無です」とトム。「キャリア戦略作成の指導をお願いしましたが、今はそれどころじゃないんです。忙し過ぎて」

この言葉に、私は両眉をつり上げた。

トムは「会社には私が必要です。昨年は1日も休みませんでした。現状を見ても、休暇はしばらく取れないと思います」と続けた。

トムにとって慢性的な多忙さは、自分が重要な存在で、職場で必要とされていると感じさせてくれる勲章になってしまった。さらに健康にも影響が出ていた。長時間労働、ストレス、リラックスする時間の不足により、不眠や頭痛、疲労が生じていた。

私は過去10年間、慢性的な忙しさに依存するクライアントの数が劇的に増加するのを見てきた。複数の調査によると、米国人が1年間に取得する休暇日数の減少には、この「多忙中毒」が影響している。

旅行業界の出資で設立された「プロジェクト・タイム・オフ(Project: Time Off)」によると、2015年に付与された休暇を使い切らなかった米国人は55%に上る。また、旅行業界ニュースサイト「スキフト(Skift)」による調査では、米国人の41%が2015年の間に1日も休暇を取得しなかったと回答している。

自分が慢性的な多忙中毒かを見分けるため、次の質問に答えてみよう。
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編集=遠藤宗生

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