今回の資金調達ラウンドで同社は、米プロバスケットボール協会(NBA)のデビッド・スターン前コミッショナーや、ロサンゼルス・ドジャーズのオーナーである投資グループのグッゲンハイム・ベースボール・マネジメント、同チームのベンチャーキャピタル部門エリージアン・パーク・ベンチャーズからの出資を受けた。スポーツ業界のリーダーたちも明らかに、リーのビジョンを支持しているということだろう。
リーはこうした投資家らの支持を得たことについて、「われわれが破壊的技術をもたらしたいと考えている世界で豊富な経験を持つ人たちが投資してくれることは、わが社のテクノロジーの質の高さを証明するものだ」と話している。
スポーツ界には、チームのコーチやスポーツリーグ、放送局が高品質の映像を求める一方で、そうした映像やコンテンツを制作する側には限られたリソースしかないという問題がある。特に下部リーグでは、こうした問題は深刻だ。キーモーションは動作検知技術と独自のソフトウェアによって映像における複数の自動化を実現することで、この問題の解決を目指す。
同社はスポーツ映像に関連して5つのプロリーグと契約しており、10か国で事業を展開。これまでに約1万5970の記録映像を制作している。また、NBAをはじめとする複数のリーグでチームの練習の様子を撮影し、映像を提供。今回調達した資金の一部は、明るさの変化など天候に関わる複雑な条件が伴う中で実施される屋外での試合の撮影技術の向上に充てる予定だ。
スターン元コミッショナーは発表文の中で、「キーモーションの自動技術は、全てのスポーツのライブ映像が制作される方法を破壊する可能性がある」「さらに、それはスポーツにとどまるものではない。(キーモーションの技術は)ゲームチェンジャーだ」と述べている。
ツイッターが米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の木曜夜の試合、フェイスブックが米メジャーリーグサッカー(MLS)の試合をライブストリーミング配信し始めたり、アマゾンがテニスのノバク・ジョコビッチ選手のドキュメンタリー・シリーズを制作したりするなど、スポーツ関連の映像コンテンツの制作はさまざまな破壊的変化に直面している。
リーによれば、「映像コンテンツ制作は大きな市場だ。今後、これまでになく大量の映像コンテンツを制作していくことになるだろう。このビジョンを、投資家たちも共有してくれている」という。