ビジネス

2017.08.13

デジタル時代にアナログ回帰 「新型DM」の可能性

「Tactile Marketing Automation」は手紙などの印刷物以外にもポストカードから、ブランドグッズ、コーヒー、なんと犬まで贈ることができるという。この贈り物で見込み客とのパイプラインをつくる。

米国でデジタルマーケティングの取材をする中で、「リード・ナーチャリング」という言葉がよく聞かれた。見込み客をいかに育てるか──デジタルとアナログを組み合わせた取り組みとは。


PrintingForLess(以下、PFL)のCEO、アンドリュー・フィールドは、毎日のように大量に届くメールに辟易としていた。その数は多いときに5000通に上っていた。

「単純なデジタルマーケティングは効果が薄いんじゃないか、と思いました。そこで、印刷物によるDM(ダイレクトメール)とデジタルでのキャンペーン、その両方を組み合わせたサービスを始めてみることにしたんです」

PFLはデジタル全盛の時代において、アナログな手法によるアプローチを重要視している。提供するサービス「Tactile Marketing Automation」は見込み客に対して、メールなどでアプローチしつつ、印刷物からポストカード、ブランドグッズといったアイテムを届けられるというもの。

「べストなキャンペーンというのは、まずデジタルから始まる。そして、その数週間後、見込み客のもとに印刷物やDM、ギフトが届く。そうすると、レスポンスが上がるんです」

例えば、同社ではあるソフトウェア会社の幹部にメールでアプローチした数週間後、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の有名選手であるスティーブ・ヤングのサイン入りボールを贈った。そうしたところ一人の幹部から連絡が届き、最終的に大きな契約につながったという。

「贈るべきものは、マネジャーなのか幹部なのか、対象によって異なります。ただし、FedExが届けた荷物は100パーセント開封してもらえるように、こちらから贈ったものは確実に開けてもらえる。短い間ですが、顧客の注意を引きつけることができるわけですから、これは企業にとって大きなビジネスチャンスになるはずです」


アンドリュー・フィールド◎PrintingForLess のCEO。1999年に創業。職場づくりの革新的なアプローチに対して贈られる、Best Bosses Award の2005年度の受賞者。

文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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