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2017.08.13

焼き立てピザをセルフ販売、米大手チェーンが新システム

El Nariz / shutterstock.com

あなたの親や祖父母が米国の大都市で育った人なら、「オートマット」の話であなたを楽しませてくれたことがあるかもしれない。

オートマットはガラス張りの棚の奥に用意された食べ物をのせたプレートが自動的に出てくる、セルフサービスのカフェテリアのようなものだ。この「自動販売機レストラン」では、利用客は料金を支払い、扉を開けて料理を取り出すだけというシステムが採用されていた。

米デトロイトに本拠を置く大手ピザ・チェーン、リトルシーザーズはこのほど、こうしたサービスを「復活」させた。「ピッツァ・ポータル(pizza portal)」と名付けた店舗で試験運用を開始した新システムでは、利用客はまず同社のアプリで注文、支払いを済ませる。ピザが焼けると通知があり、指定の店舗でコードナンバーを打ち込んだ後、ガラス窓の向こう側からピザを取り出す。

人に「優しく厳しい」新技術

テクノロジー情報サイトのギズモードは同社のこのアイデアについて、少しばかり「無慈悲」」なものだと述べている。これもまた、レストラン業界発の新たな「人間同士の交流回避を可能にする」イノベーションだからだ。

例えば、人気のベーカリーカフェ、パネラブレッドではすでに、オンラインで注文し、数分後には店舗で商品を受け取ることを可能にしている。利用客は誰とも会話する必要がない。また、マクドナルドも「セルフオーダーキオスク」を各地で試験導入している。

リトルシーザーズと競合するドミノピザをはじめその他の多くの店でも、オンラインで注文し、配達してくれるドライバーの到着まで、注文した商品をネットで追跡することができるようになっている。

ある意味では、こうした各社の取り組みは多くの飲食店が頭を悩ませている人手不足を解消する一つの方法だ。人を雇うことができないなら、足りない労働力を何らかの形で補わなければならない。

一方、こうしたテクノロジーは必要な労働力の削減、プライスポイントの引き下げも可能にする。さらに、全ての店舗をセブンイレブンのように、いつでも欲しいものを買って帰ることができるようにする。

こうしたテクノロジーに関する唯一の問題点は、「注文したものを人間から受け取ることで、商品が注文後に調理されたものだとの確信を得たい」と考える人もいることだ。リトルシーザーズの新システムは注文後にピザを焼いていることが分かることから、このニーズに(ある程度は)応えるものだといえる。さらに、少なくとも子供たちを楽しませるシステムだといえるだろう。そして、祖父母たちと共通の経験を与えてくれるものでもある。

編集=木内涼子

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