頭で飲むワイン「法律とワインの意外な共通性」

飲んで美味しい、見て美しいワインの数々。その魅力に迫る。

「ワインのテイスティング」というと、感覚的・直観的なものに思われるかもしれない。もちろん、それも大事だ。しかしワインにまつわる様々な理論を学び、知見を深めたうえで、考えながらグラスの中のワインと向き合っていると、頭の中の知識と目の前のワインが結びつく瞬間がある。

「ワイン」をロジカルに分析するのだ。

この作業は、弁護士として十数年勤める中で培ってきた法律実務の経験と重なるところがある。そう気づいて以来、ますますワインを「面白い」と思うようになった。

「なぜこのワインは美味しいのか。この香り・味わいはどういう特徴があって、どこから来るのか」。そんな素朴な、しかし難しい問題を自分なりに解いてみたいと思い、わたしはワインの勉強を始めた。

多種多様なブドウ品種の個性、産地の土壌や気候、さらにはその国の歴史や文化がワインづくりに関わってくる。学べば学ぶほど、奥が深く、終わりのない旅であることに気づく。

さらに、ワイン業界は日々変化し、新しい技術や産地が生まれ続けている。世界のトップに立つプロほど、常に学ぶ姿勢を崩さず、研鑽を積み重ね続ける姿を目の当たりにする。こういったプロの姿を見ていると、どれだけ努力を重ねても、ワインのことを「わかっている」と言える日は来ないのではないかと思う。

読者の中には、プライベートでワインを飲むのが好きな方もいれば、仕事の接待でワインを飲む機会が多い方もいるだろう。そこまで知識はないけれど、ワインを飲むのが好きだという方もいるだろう。自分はワインを飲まないけれど、ハマっている周囲の友人を見て、「なぜアルコール飲料ひとつにそこまで熱くなれるのか」と不思議に思っている方もいるかもしれない。

わたしもかつては、ただワインを飲むのが好きで、生活におけるワインの比重は今ほど高くはなかった。
今回は連載第1回目ということで、わたしがワイン好きになった経緯をお話したい。
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Text by Yuri Shima Edit by Momiji Tobimatsu

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