ビジネス

2017.08.08

強い組織のカギ「従業員エンゲージメント」が高い企業トップ10

Robert Kneschke / shutterstock.com


やる気を高める秘訣は「透明性」5位 エイチーム

社員のやる気を引き出すために必要なことは何だろうか。この問いに、会社の透明性・オープン化という答えを出している企業がある。それがスマートフォン向けゲーム・アプリおよび、比較サイト・情報サイト・ECサイトなどの企画・開発・運営を行う、エイチームだ。

同社はまだ社員が数名だった、2002年から各事業の売り上げ、利益、目標達成率などを発表する「全社ミーティング」を開始。毎週月曜日に行われる、このミーティングは15年続き、これまでに750回以上も開催されている。全社ミーティングを開催することにした理由を、同社の社長室室長である光岡昭典は、こう語る。

「我々の経営理念『みんなで幸せになれる会社にすること』を実現するためには、社員一人ひとりを信頼して、必要とする。そして会社の情報をオープンにし、全社員が経営について考えるようにすることが大切だと思いました」

おおまかな会社の業績や方向性だけではなく、目標の進捗率や採用状況、はたまたサービスの不具合など、良い情報も悪い情報も毎週、役職や経験など関係なく全社員に共有する。これにより、社内の透明性が高まっただけでなく、社員一人ひとりが経営者の目線を持って働けるようになったという。

「仕事に対するモチベーションも高まり、全社員が意欲的に仕事に取り組んでいます。『エイチームグループの一員である』という当事者意識を持つことで、事業部を超えたノウハウの共有が行われるようになりましたし、何より会社の理念や業務目標も現場レベルまで浸透させることができました」(光岡)

中途社員とも理念を共有8位 ユーザベース

企業・業界分析のためのオンライン情報プラットフォーム「SPEEDA」、ソーシャル機能を兼ね備えた経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks」を運営するユーザベース。同社は東京のほか、上海、シンガポール、香港、スリランカ、ニューヨーク(グループ会社含む)にも拠点を構え、ビジネスを展開。会社の成長とともに社員数も増え、現在約200名が働いている。

社員数の増加に伴い、同社は改めて理念やビジョンを浸透させ、組織を良い方向に導くため、2015年1月、「カルチャーチーム」という組織を立ち上げた。

具体的に行っているのは、現場の課題を吸い上げて経営層に伝え、解決策をフィードバックしていくこと。そのために、カルチャーチームに所属する3名のメンバーは、社員に対し定期的にアンケートを実施している。

例えば、最近のアンケート結果からは、「人事評価における妥当性」が課題として挙がってきた。同チーム所属し、採用マネジャーを務める村樫祐美はこう語る。

「人事評価制度は当社のミッション『経済情報で、世界をかえる』、バリューの『7つのルール』に基づき、設計されています。当社では新しい社員が続々と入社していて、制度を正確に理解していない社員もいたため、改めて制度設計の思想から評価フロー、また具体的に個々がどのように目標設定をすれば良い成長につながっていくのか、実例を交えた勉強会を実施しました。こうした取り組みが社員1人ひとりの会社の目指す方向と価値観の理解に注力したい思います」
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文=柳瀬 徹

この記事は 「Forbes JAPAN No.37 2017年8月号(2017/06/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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