好調だったのは半導体部門。スマホ向け画像センサー等が業績を牽引し、この部門の売上高は前年同期比41.4%増となった。また、昨年4月の熊本地震関連の93億円に及ぶ保険金の受取りも営業利益に寄与した。
しかし、一方でPS4の出荷台数は昨年の同四半期の350万台から330万台に減少した。
ウォールストリート・ジャーナルは、2013年にリリースされたPS4の技術が古くなっていることが販売減少の一因だとし、2018年にはPS5が発表されると予想した。また、マッコーリーキャピタル証券のアナリスト、Damian Thongも「2018年後半にプレイステーション5(PS5)がリリースされる」と予想しているが、Wedbush SecuritiesのMichael Pachterをはじめ数人のアナリストは、2019年になるとしている。
筆者もPachterらと同意見だ。現状の市場環境を見渡したとき、ソニーが2018年にPS5をリリースすることは合理性に欠ける。
まず、ソニーはゲーム機市場において断トツのトップシェアを誇っている。PS4の販売台数は6000万台を突破し、Xbox OneやWii U、ニンテンドースイッチを遥かに上回る。
PS4の特徴は、半世代分のアップグレードである「PS4 Pro」がリリースされていることだ。ソニーは同世代ハードウェアの中でよりハイエンドなゲーム機を提供したことで、従来のゲーム機に比べてライフサイクルを長期化することに成功した。このため、Proの発売から1年半しか経っていないタイミングでPS5をリリースするのは、間隔があまりにも短い。
さらに、ソニーは「The Last of Us 2」や「God of War」などのビッグタイトルを近くリリースする予定だ。これらのタイトルは次世代ゲーム機でもプレイできるかもしれないが、PS4を主たるプラットフォームとして開発されている。2018年もPS4の拡販が期待できるのに、PS5をリリースするのは機会損失を招くことになる。
PS5のリリースは2019年が有力
これらの理由から、PS5をリリースするのであれば、2019年が最適なタイミングだと言える。2019年は、PS4の発売から6年後、PS4 Proの発売から3年後に当たる。ソニーが再びPS4 Proのようなアップグレードを行うのか、次世代ゲーム機をリリースするのかは不明だが、恐らく後者の可能性が高いだろう。
2019年のホリデーシーズンのリリースとなれば、マイクロソフトのハイエンドゲーム機「Xbox One X」のリリースから2年後、ニンテンドースイッチのリリースから2年半後となり、両社にとっては大きな脅威となる。かつて、ソニー、マイクロソフト、任天堂はゲーム機をほぼ同じ時期にリリースしてきたが、現在ではタイミングがバラバラになっている。
2019年であれば、新ハードウェアをリリースするのはソニーだけになる可能性が高く、それまでにPS4の販売をさらに増やすことができる。
ソニーが仮に2018年のゲーム見本市「E3」でPS5のティーザーを発表するとしても、公開する情報は最小限に留めるだろう。同社は冬か春での発表に向けて準備を進め、2019年の秋か冬にリリースする可能性が最も高いと思われる。