勤務評定をデジタル化するスタートアップ企業、Latticeの挑戦

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スタートアップ企業「Lattice」の共同創業者ジャック・アルトマンとエリック・コスローは、目標達成度を管理するソフトを開発していた約1年前に重要なことに気づいた。アメリカの企業はもはや従来のパフォーマンスレビュー(勤務評定)の仕組みを利用していなかったが、その代替となる方法にも満足していなかった。

「従来のパフォーマンスレビューを気に入らない社員は多く、企業が次々と廃止していた」とCEOのアルトマンは言う。「その代わりにフィードバックを行う方法が導入されたが、これにも従業員たちは満足しなかった」

そこでLatticeは2~3の大まかなレビューやQ&Aによる毎週の活動報告を中心とした新しいタイプのパフォーマンスレビューを開発。今ではバーチボックス(Birchbox)、クルーズオートメーション(Cruise Automation)、グロシエ(Glossier)や公共ラジオ放送局New York Public Radioをはじめとする225社が導入している。そのうち半数の従業員が毎月の達成度を確認できるアプリを利用している。

「優れた業績管理を実現するためのレビューとリマインダーがあることが評価され、広く使われている」とアルトマンは説明する。

Latticeは先日、スライブ・キャピタル(Thrive Capital)やコースラ・ベンチャーズ(Khosla Ventures)、SV Angelなどを含む投資家から640万ドル(約7億860万円)の資金調達に成功した。今後は社員を増やし商品開発に投資するという。引き続き企業に使ってもらうには、ユーザー・エクスペリエンスの改善と機能の向上に務めることが肝心だ。

Yコンビネータの社長とは兄弟

スタートアップ業界に詳しい人ならば、アルトマンという名前に聞き覚えがあるだろう。有名アクセラレータのYコンビネータ社長のサム・アルトマンは兄弟であり、LatticeもYコンビネータのプログラムに参加した過去がある。

当時、LatticeはYコンビネータにとって有望株とは言えず、自らの力で名前を売る必要があった。そこでLatticeのチームは起業家向けのブログを執筆したり、アドバイスを共有するための食事会を企画して認知度を広げていった。

Latticeはターゲットを社員数30~500人の企業に絞ることにより、他の人事系サービスを提供するスタートアップと衝突することなく成長してきた。競合他社が狙うのはより大規模な企業であり、Latticeは人事系サービスを提供するBamboo HRやZenefitsなどの企業とも共存可能だとアルトマンは言う。

Latticeの投資ラウンドをリードしたスライブ・キャピタルのMiles Grimshawは、Latticeは事務サービスJustworksやフォーブスのクラウド100にも選ばれた採用管理のGreenhouseやSlackなどと同様に「顧客のニーズを満たすことにこだわり、秀逸な商品を創り出すことで激戦業界を勝ち抜く企業」だと評価した。スライブは2016年5月に行われたLatticeの投資ラウンドもリードしている。

CEOのアルトマンは自分の社内でのパフォーマンスもLatticeで管理し、チェックを怠らないという。「四半期ごとに自分や社員らがどのような成果をあげているかを確認している」とアルトマンは述べた。

編集=上田裕資

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