AIの世界王者決定戦「ImageNet」で中国チームが上位を独占

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その後、ディープラーニングはAIコミュニティにおいて爆発的に普及した。このAIシステムは、人間の脳が多くのニューロンとシナプスによってネットワークを形成するように機能し、膨大なデータを学習してパターンを見つけ出すことができる。

2012年以降、グーグルやマイクロソフトなどの大手テクノロジー企業もImageNetに参加するようになった。2014年にはグーグルから「GoogLeNet」というチームが参加し、物体検出の正解率で前年記録の22.6%を大きく上回る43.9%を達成した。

ImageNetは、スタートアップが技術力をアピールする絶好の場ともなっている。2013年には現在30歳のAI研究者のマシュー・ズィーラー(Matthew Zeiler)が設立した「Clarifai」が画像識別タスクで優勝し、Krizhevskyが打ち立てたエラー率15%を上回る12%を達成した。

当初、ImageNetの主催者たちは2014年に画像認識タスクを終了し、物体の位置特定や検出、動画認識などに専念しようと考えていたが、テクノロジー企業の意向により従来通りのタスクを継続してきた。

しかし、パフォーマンスが飽和状態に達していることから、ImageNetは終了することが決まった。「これ以上精度が向上する余地は小さい」とImageNetの主催者で、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の教授でもあるAlex Bergは話す。

深センからも有力スタートアップが登場

「ImageNetはまだ大きな進化を遂げているが、他のタスクやデータセットに移行する方がAIコミュニティにとって健全だ」とRussakovskyも言う。Russakovskyは今後ImageNetに代わるAIコンテストとしてCOCO(Common Objects in Context)を挙げる。

Bergはスマホカメラで撮影した現実社会のデータを用いた画像認識コンテストの開催を検討しているという。これら以外にもWebVisionというコンテストがある。これは、ImageNetがラベル付きデータを使用しているのとは異なり、ラベル付けのされていないウェブ画像を用いた画像認識タスクを参加者に課している。

WebVisionの結果が最近発表されたが、優勝者は深センに本拠を置くAI企業Malong Technologiesで、正解率は94.78%だった。同社は非上場企業ながら、深セン市政府の支援を受けて、清華大学と共同でAI研究所を立ち上げた。深セン市は市内で立ち上がったAIプロジェクトに100万ドルの支援を行っている。

「AIは競争が激化しており、手に入れられる武器は何でも獲得する必要がある。政府からの支援は、中国でAI企業を立ち上げる大きなメリットの一つとなっている」とMalong Technologiesの共同創業者であるMatt Scottは話した。同社は元マイクロソフトのScottと、清華大学出身のDinglong Huangらが2014年に立ち上げた企業だ。

編集=上田裕資

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