ツイートでマスクは自身が「躁うつ的な気質を持っている」と告白したのだ。テスラの新型セダン、モデル3の納品は7月28日に開始されたが、マスクはモデル3の増産体制について、やや悲観的な見通しを述べた。
マスクは今後のテスラ車の増産にあたり、工場が「生産地獄(manufacturing hell)」に直面することになると発言した。その2日後にマスクはツイッターで、自身が非常にハイな精神状態と、その後のひどい落ち込みのアップダウンを繰り返しており、絶え間ないストレスを感じていると述べた。
ツイッター上でユーザーから「躁うつ病なのか?」と聞かれたマスクは「その通り」と回答し、「医学的な意味での躁うつではないが、悪い出来事が起こると嫌な気持ちになる。最大の解決策は、やろうとした事を実現することだ」と述べた。
今回のマスクの一連の発言は、テスラが2006年に「Secret Tesla Motors Master Plan」と題したブログ記事で掲げた、求めやすい価格の高品質な電気自動車を市場に投入するという夢を、まさに現実のものにしようとしているタイミングでなされた。
そのブログが書かれた当時、テスラは同社初のEV車両のロードスター(Roadster)を98000ドルで発売する直前だった。テスラのモデル3の標準モデルは3万5000ドルで発売されるが、航続距離や自動運転機能のアップグレードを行った場合、ロードスターより高額な10万ドルになる。
50万台の納車は順調に進むのか?
さらに、その後の発売が予定されているモデルXは、より高価格な設定になる。フォーブスは今回のモデル3のテスト試乗を行ったが、仕上がりは上々で、この車両はテスラにとってヒットとなるかもしれない。ただし、そのためには製造が順調に進み、予約を行った人々に素早く車両が納入される必要がある。
2003年にシリコンバレーで生まれたテスラは、2008年には破綻寸前に陥ったが、マスクの差配でそれを切り抜けてきた。その後も、投資家らから事業の継続性への疑問が投げかけられる度に、それを振り払う実績を生み出して生きた。
マスクが今回、テスラの増産能力への不安を表明したことは、既に50万台を超える予約注文を受けたモデル3のスケジュール通りの納車が、いかに困難であるかを示している。マスクは既に、モデル3の生産台数を12月には、ひと月あたり2万台に到達させるとのゴールを掲げていた。
テスラは8月3日に決算発表を行い、2017年後半へのガイダンスを発表する予定だ。マスクは自身のツイートで述べた増産への不安を、決算発表の場でどう説明するのだろう。投資家らの注目が高まっている。