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2017.08.01 12:00

ソフトバンクを迎え撃つ中国企業 激戦のコワーキング市場の行方

Photo by Tomohiro Ohsumi / Getty Images

中国のコワーキングスペース市場は、かつてウーバーが参入を試みた頃のライドシェア市場に匹敵する激戦区となった。この市場では今後、M&Aや合従連衡の動きの活発化も見込まれる。

7月28日、ソフトバンクと中国のプライベートエクイティHony Capital(弘毅投資)はウィーワーク(WeWork)に総額5億ドル(約550億円)を出資し、中国でのオペレーションを活性化させると宣言した。これに先立ち、ソフトバンクは18日にウィーワークと日本で合弁会社を設立し、2018年に東京でコワーキングスペースを開設すると発表していた。

一方で、7月28日にはNaked Hub(裸心社)とシンガポールの同業のJustCoが合併を宣言。アジア最大の高級コワーキングスペースのネットワークを設立すると宣言した。

さらに、7月4日には北京のURWork(優客工場)がヘルスケア大手のBeijing Aikang Group(北京愛康集団)から3000万ドルを調達した。2015年4月設立のURWorkの調達額は累計で1億7500万ドル(約193億円)を突破した。

ウィーワークが今後どのような成果を中国であげるかは非常に興味深い。中国ではこれまでウーバーが滴滴に敗退し、eBayもアリババを相手に苦戦、リンクトインも中国での利用者増を狙うが、その行く手をWeChatが阻んでいる。

ウィーワークの場合は中国で現地法人を設立し、現地のカルチャーに合うオペレーションを行っていくという点が、これまでの海外企業との違いと言える。同社は今後、東京やバンガロール、香港やバンコクといったアジア各地への展開を見据えている。

一方で、ウィーワークの進出を食い止める現地企業の動きも活発だ。上海に本社を置くNaked Hub(裸心社)は2016年に香港のGaw Capital(基匯資本)らから3300万ドルのシリーズB資金を調達し、中国やベトナム、香港に21ヶ所を構えている。また、7月28日のJustCoとの合併により、東南アジアでさらに41ヶ所のオペレーションを追加する。さらに中国ではURWorkもかつての競合のNew Spaceとの合併により運営拠点を拡大させている。

中国のシェアエコノミー市場規模は57兆円

ウィーワークは今後、上海に6ヶ所、北京に3ヶ所、さらに5ヶ所を中国の大都市に開設する計画だ。ウィーワークが上海で運営する拠点の一つは、かつて阿片の製造工場だった歴史的建物を、モダンで荘厳なガラスの球体のような外観にリフォームしている。筆者が運営するベンチャーキャピタルのSilicon Dragonも上海のウィーワークの拠点にオフィスを構えている。

中国のコワーキングスペース市場の勃興は、この国の巨大なシェアリングエコノミーの象徴だ。中国では6億人の人々がクルマや自転車、傘までをシェアしており、その市場規模は中国当局の試算では5070億ドル(約57兆円)と算定されている。

凄まじい規模だが、この勢いはとどまるところを知らず、世界中のスタートアップのハブ都市に拡大していこうとしている。

編集=上田裕資

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