マネー

2017.08.01 11:00

本田圭佑が本気で「1兆円企業」を目指す投資先


実は3年ほど前からクラウドファンディングに興味を持っていたと本田は言う。

「アメリカのクラウドファンディングでイグジット(会社売却)経験のある知人と一緒にクラウドファンディングの会社の立ち上げも検討していました。でも、いくつかの事情で話は流れてしまったんです。それでも諦めきれずに日本のクラウドファンディング業界を調べていました。そのときに業界で勢いがあるMakuakeを初めて知ったのです」

世界的な著名人である本田から、突然、出資話を持ちかけられたサイバーエージェントの藤田が振り返る。

「正直、投資の話をもらったときは驚きました。Makuakeを運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングはサイバーエージェントの100%子会社ですし、増資の考えは頭の中にまったくありませんでした。ただ、経営者として久しぶりに刺激を受けたんですよ。だって『Makuakeが時価総額1兆円規模の会社になる』って言うんです。最近の経営者で、こんなに大きなこと言える人を僕は知りません。本田さんがもつスケール感やビジョンがクラウドファンディングのイメージ、ひいてはMakuakeのブランディング、成長に良い影響を与えるんじゃないか。そう思い、投資を受けることにしました」

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左:サイバーエージェント・クラウドファンディング代表取締役社長 中山亮太郎、右:サイバーエージェント代表取締役社長 藤田晋

出資が決まり、サイバーエージェント・クラウドファンディングの社長である中山は、イタリア・ミラノへ飛び立った。本田と直接、顔を合わせ、今後について話し合うことにしたのだ。

中山が話す。

「実際にお会いして、かなりクラウドファンディングについて調べ上げられているな、と感じました。『クラウドファンディングこそ既存産業の領域で活用されるべきだ』と仰っていて、巷で言われているクラウドファンディングのイメージにとらわれていなかった。すべてを調べ上げたうえで、どの市場にチャンスがあるかを話されていたんです。自分と同じ画を見ていたので、この人とだったらご一緒したいと強く思いました」

本田が考える「スポーツ×○○」とは

今後、本田はパートナーとして、Makuakeに携わっていく予定だという。

本田はサッカー選手という職業柄、VIPの人脈を世界にもち、日本のいち事業家ではなかなか会えないような大物たちとアクセスができる。これも「1兆円企業」と彼が言い切る根拠の一つかもしれない。

最後に、「投資家として、現在、もっとも関心がある領域は?」と聞くと、本田は「そこが一番伝えたいところです」と言って、こう話した。

「この1年間は、いろんな業界のことを勉強したかったというのもあって、ジャンルを絞らずに出資をしてきました。今後はAI、IoT、センサーといった分野に集中して投資していく予定です。そして最初のフェーズとして、スポーツの分野にAI、IoT、センサーなどの技術を掛け合わせ、世界最高に挑戦していくつもりです」

日本でも活況を見せるクラウドファンディングが、本田の壮大なビジョンとともに新たなフェーズに移るかもしれない──。

編集=新國翔大 撮影=小田駿一

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