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2017.07.29

アバクロに復調の兆し? 姉妹ブランドの増収続く

Christian Mueller / Shutterstock.com

業績不振が続いていた米カジュアル衣料大手のアバクロンビー&フィッチ(A&F)に、好転の兆しが出始めたのかもしれない。特に姉妹ブランド、ホリスター(Hollister)には、慎重ながらも楽観的な見方ができそうだ。

同社に見られ始めた前向きな変化は、新たに就任したフラン・ホロウィッツ最高経営責任者(CEO)と、その率いるチームの仕事ぶりに負うところが大きい。また、ホリスターのクリスティン・スコット新社長のおかげもあるだろう。スコットは従業員の教育にも力を入れており、各店舗には十分な知識を持ち、接客態度も素晴らしい販売員がそろっている。

ホリスターの来店客数の変化は、消費者がこうした「新しい顔」を好意的に受け止めていることを示すものだ。A&Fの主要ブランドは現在、以前の「アバクロンビー&フィッチ」ではなく、ホリスターに変わっている。

ホリスターの店舗数は米国内が397店、国外が145店。一方、アバクロンビー&フィッチはそれぞれ308(子供服「アバクロンビー・キッズ」を含む)、43となっている。

アバクロンビー&フィッチもまた、ステーシア・アンダーソン新社長の指揮の下、店舗の様子が大きく様変わりしている。A&F全体を崩壊に追い込みかけたマイケル・ジェフリーズ前CEOの「クールな若者たちだけのための」ブランドという性的な表現も多用したコンセプトは、すでに排除されている。アーサー・マルティネス会長は、同社を立て直し、新たな目標に向かわせるための骨の折れる仕事に尽力してきた。

A&Fが正しい方向に進み始め、復調の兆しが見え始めたと考える根拠は、以下に挙げるとおりだ。

・既存店売上高が増加傾向に

A&Fの既存店売上高は昨年、4四半期にわたってマイナス続きだった。だが、下表のとおりホリスターは、すでに復調傾向にある。

・オムニチャネルでの販売が順調

インターネットとソーシャルメディアの重要性を認識したA&Fは、スナップチャットやインスタグラムなどを通じても売り上げを伸ばしており、すでに売上高の27%をオンライン通販が占めるようになっている。

・アバクロンビーの新店舗が好評

A&Fはアバクロンビー&フィッチの店舗デザインを変更。試験的に各地で小規模化した店舗を展開している。販売員とのコミュニケーションを取りやすくし、来店客の店舗での体験を向上させることが狙いだ。

・下着ブランド「ギリーヒックス」が好調

ホリスターの店舗内で販売してきたランジェリー・ラインの「ギリーヒックス」は現在、アバクロンビー&フィッチでも取り扱いを行っている。価格設定も適切と考えられ、売上高に貢献すると期待される。

身売り計画を撤回

A&Fの取締役会は、検討していた他社への身売りの方針を撤回した。それは、確かな根拠がある決定だったと考えられる。A&Fの各ブランドを率いる経験豊かな人材が、消費者の支持を受ける商品を市場に送り出している。こうした商品は店舗でもオムニチャネルでも、順調に売り上げを伸ばしていくことができるだろう。

編集=木内涼子

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