ビジネス

2017.07.29

「対照的」な米GMとテスラのCEO、信頼度に差がある原因は

GMのメアリー・バーラCEO(Photo by Bill Pugliano / Getty Images)


理由の1つは、GMには投資家らを失望させた過去があるということだ。その最たるものが、2009年に行った米連邦破産法11条の適用の申請だ。投資家らが保有していた株は、紙くず同然になった。バーラが就任するおよそ4年半前のことだが、それでもこの事実は、CEOが背負っていかなければならない重荷だ。

また、タイミングの問題もある。CEO就任後、バーラは実績を積んできた。だが、米自動車業界は循環的な下降局面に向かっており、投資家らはGMの業績も悪化すると予想している。同社は需要の減少に合わせて生産台数を減らす方針を示し、失われる分の利益はコスト削減その他の努力で相殺することが可能だと説明している。

投資家は一般的に、企業が過去に何をしたかではなく、将来に何を目指しているかに注目する。この点についていえば、ウォール街はバーラの戦略ではなく、マスクの夢により心を踊らせているということだろう。

ただ、GMの事業計画を見れば、その戦略が予想される市場の動向にどれだけ配慮したものになっているかが分かるはずだ。「車の購入者」が「交通手段の利用者」に変わる将来へと向かう中でも、GMは主導的な立場にある。車の自動化や電化に関する技術開発も推進しており、サンフランシスコでは現在、自動運転車のシボレーボルトEV約180台の試験を実施中だ。

バーラとGMの最高財務責任者はこれまで投資家らに繰り返し、将来の技術に多額の投資を行うことが、同社が米国事業で10%の利益率を維持することにつながると説明してきた。ただ、2人はマスクと異なり、ウォール街に対してその言葉を証明していかなければならない。

編集=木内涼子

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