中国では銀行は個人向けの融資を行わず、クレジットスコア(信用履歴)を持つ中国人は人口の25%しか居ない。中国のフィンテック企業らがターゲットとするのが、その残りの75%の人々だ。
この分野ではアリババをはじめテンセントのWeBankや、バイドゥのYou Qian Hua等、テック企業の大手らがしのぎを削っている。しかし、ここで注目すべきはフィンテックに特化した独立系企業の台頭だ。
この分野の大手として知られるのが上海本拠のChina Rapid Financeや北京のCreditEase(宜信)、Yongqianbao(用銭宝)の3社。これらの企業はビッグデータを活用し、クレジットスコアを持たない人々に貸付を行っている。
中国人民銀行のデータによると2015年、中国でのモバイル決済利用人口は65%.の増加となった。モバイル決済は利用者の決済履歴を拾い集め、ビッグデータによる消費者の行動予測を可能にする。フィンテック企業らは利用者の同意を得た上でWeChatペイやTモールの購買履歴にアクセスし、データの正確さに磨きをかけている。
中国最大の消費者金融サービスであるChina Rapid Finance (CRF)は、都市部の教育水準の高い20代を主要顧客とし、今年5月にはニューヨーク証券取引所に上場。貸出金額は2014年の3億3500万ドルから、2016年には10億6200万ドル(約1200億円)まで増加した。
また、北京本拠のYongqianbao(用銭宝)は創業から3年の企業だが、AIを活用したリスクマネジメントを行い、これまで1000万件以上の貸付を行った。
Yongqianbaoの創業者Jiao Keは中国清華大学でコンピュータサイエンスを学び、マシンラーニングを活用したシステムで事業を拡大。今年3月にはカイフ・リーが率いるシノベーション・ベンチャーズ(Sinovation Ventures)から6700万ドルを調達した。
「データの共有」が成長をもたらす
そして、この分野のパイオニアと呼べるのが2006年創業の北京のCreditEase(宜信)だ。同社のオンライン金融部門Yirendai(宣人貸)は投資家と消費者をダイレクトにつなぐP2Pレンディングを行い、2015年にニューヨーク証券取引所に上場。昨年の同社の売上は4億8800万ドルに達した。